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 土木管理総合試験所(長野県千曲市)は和歌山県にある旧南紀白浜空港の滑走路で、時速80kmで走行しながら空港舗装特有の損傷箇所を検知するアルゴリズムの適用実験を実施した。高速で調査できるだけでなく、健全度を自動判断できる高速解析が売りだ。

旧南紀白浜空港の滑走路で実施した実証実験の様子。3Dレーダー探査車RSVが走っている(写真:土木管理総合試験所)
旧南紀白浜空港の滑走路で実施した実証実験の様子。3Dレーダー探査車RSVが走っている(写真:土木管理総合試験所)
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 調査には、舗装面に電磁波を投射する3Dレーダー探査車RSV(ロード・スキャン・ビークル)を使った。東京大学生産技術研究所の水谷司准教授が開発したアルゴリズムを採用している。波形の相関性に着目して、損傷部を自動で見抜く。これまでは、反射波の画像を人が診断するのが一般的で、長い距離だと解析に数日間を要していた。

舗装内の損傷を見抜くアルゴリズムの概要。基準点とした健全部との相関性を自動解析する。健全であれば波形は大きく変わらない。逆に波形が大きく変わる箇所を損傷部として抽出する(資料:土木管理総合試験所)
舗装内の損傷を見抜くアルゴリズムの概要。基準点とした健全部との相関性を自動解析する。健全であれば波形は大きく変わらない。逆に波形が大きく変わる箇所を損傷部として抽出する(資料:土木管理総合試験所)
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 ロード・スキャン・ビークルは、高速道路や国道にある橋梁の床版劣化の調査などで普及してきた。これまでに延べ11km程度の調査実績がある。

 「道路だけに使うのはもったいない。道路よりも広い空港の滑走路だと、解析の自動化の効果がより大きいと考えた」。土木管理総合試験所DKコンサルティング研究室の竹元大上級研究員は、こう話す。