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建設3Dプリンターの開発を手掛けるスタートアップ企業のPolyuse(ポリウス、東京・港)と入交建設(高知市)が、国土交通省土佐国道事務所の道路改良工事において、3Dプリンターで印刷造形した集水升を設置した。公共工事の本設構造物では初となる。建設業界の生産性向上ではICT(情報通信技術)土工が先行するなか、構造物の施工でも生産性を上げられる3Dプリンターに注目が集まっている。
2022年2月25日、高知県安芸市の南国安芸道路赤野橋下部外工事の現場に、約100人の見学者が押し寄せた。目当ては、同年1月に現地に据え付けた集水升だ。寸法は1m×1m×1m。3Dプリンターで造形した本設構造物は「公共工事初」だけに、関心は高い。
現場で監理技術者を務める、入交建設土木部の石川淳課長は、3Dプリンターの採用のきっかけを次のように話す。
「建設業界は少子高齢化で働き手不足。特に若手の担い手が少ない。新しい技術や魅力的な技術が必要だと思っていたときに、たまたま出合ったのが型枠不要でコンクリート構造物を造形できる3Dプリンターだった」(石川課長)
3Dプリンターを公共工事で使う試みは、国交省が取り組んでいる「生産性向上チャレンジ工事」の一環だ。受注者が施工計画書で省人化や生産性向上の取り組みを提案。効果が認められれば、発注者は工事成績評定で加点する仕組みだ。費用は原則、受注者が負担する。