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エアロセンス(東京・文京)と建設技術研究所は、垂直飛行で離着陸する固定翼ドローン「エアロボウイング」にLTE通信機能を搭載し、1回の飛行で山奥に点在する8基の砂防ダムを点検する実証実験を行った。点検では土砂の堆積量や、ダム本体に流木が引っ掛かっていないかどうかの異常を確認する。LTE通信機能を搭載したドローンで一度に複数のダムを点検するのは国内初の試みだという。
LTEは第4世代の携帯電話における通信規格の総称。スマートフォンの動画配信がスムーズになったように、それまでの通信規格よりも速く多くのデータを送受信できる。ドローンとの通信に用いる場合は、操作端末との間を通信基地局が中継する。LTEは日本全国を広くカバーしているため、山間部であっても安定的な通信が可能だ。
エアロボウイングは高低差がある山間部でも使用電力を抑えて上昇・下降する。最高時速100km、最長航続距離50kmの性能を持ち、100ヘクタールの広域でも1回の飛行で撮影が可能だ。また、垂直飛行で離着陸するので狭い場所でも離着陸できる。
一方、一般的なマルチコプター型のドローンにLTE通信機能を搭載しても、1回の飛行で点検できる砂防ダムは1基だけだという。飛行可能時間が短い上に、高低差がある山間部ではバッテリーの消耗が激しく、ダム1基ごとに離着陸を繰り返す必要があるからだ。