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 斉藤建設(北海道函館市)は、消波ブロックなどの施工が設計通りに進んでいるかどうかをMR(複合現実)技術で確認できるシステム「バーチャル・スケール」を開発した。自社で用いるだけでなく、2023年春から社外へのリース事業を始める予定だ。

バーチャル・スケールで見た消波ブロック据え付け工事現場のイメージ。3次元モデルと重なっておらずピンク色に染まっていない箇所は、設計から逸脱している(出所:斉藤建設)
バーチャル・スケールで見た消波ブロック据え付け工事現場のイメージ。3次元モデルと重なっておらずピンク色に染まっていない箇所は、設計から逸脱している(出所:斉藤建設)
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バーチャル・スケールを構成するデプスカメラとゴーグル(写真:斉藤建設)
バーチャル・スケールを構成するデプスカメラとゴーグル(写真:斉藤建設)
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 バーチャル・スケールで使うデバイスは作業用ヘルメットに取り付けるデプス(深度)カメラとゴーグルから成る。消波ブロック据え付け工事で、実際の現場の画像に、設計データに基づく据え付け後のブロックの3次元モデルを重ねてゴーグルで見られるようにした。3次元モデルを一度に重ねられる工事現場の範囲は、幅と奥行きがそれぞれ10m以内の空間だ。

 3次元モデルは半透明でピンク色をしている。出来形が設計に基づく据え付けの範囲内に納まっているブロックは、ゴーグルではピンク色に染まって見える。一方、範囲外のブロックは色が付かないので、設計から逸脱している箇所が分かる。モデルの色をピンクにした理由は、「海面からの太陽光の照り返しが強くても見やすい色だから」(開発を担当した斉藤建設の坂口吉穂専務)だ。