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鹿島は、ダムの堤体コンクリートでひび割れ発生の予兆となるひずみ挙動を、光ファイバーを使ってリアルタイムで高精度に検知する技術を確立した。この技術により、特に寒冷地に新設するダムで品質向上への効果を見込んでいる。2023年2月1日に発表した。
ダムの堤体の施工では、層状に打設するコンクリートの水平打ち継ぎ部で、上部のコンクリートが温度応力のため収縮して反り上がり、ひび割れが生じる場合がある。つまり、コンクリートのひずみがひび割れの予兆となる。
特に寒冷地で施工する場合、外気温の低下で温度応力が大きくなりやすい。さらに、反り上がった状態を冬季の休工などでしばらく放置すると、ひび割れの発生リスクが高まる。
施工中の点検でひび割れを発見してセメント注入などで補修すれば品質の低下を防げるものの、原因の究明や対策の検討に時間を要するため、生産性が低下する。上部のコンクリートが打ち継ぎ部に覆いかぶさり、打ち継ぎ面を見えにくくしてひび割れの発見を難しくすればなおさらだ。
同社は、前田建設工業、竹中土木とのJVで国土交通省から受注して施工中の成瀬ダムを最重要プロジェクトの1つに位置付け、生産性や品質の向上を目指して自動化施工など同社の最新技術を投入している。同ダムの立地する秋田県東成瀬村は特別豪雪地帯に指定されており、コンクリートのひび割れ発生リスクが大きい環境だ。この現場で光ファイバーによるひずみ挙動の計測を試行した。