全981文字
PR

 鹿島は、道路上に光ファイバーを敷設し、車両の位置や速度をリアルタイムで把握する実証実験を実施した。道路管理者によるパトロールやカメラでの監視といった道路管理を補完するツールとして使えることを確かめた。2023年3月1日に発表した。

熱海ビーチラインで光ファイバーの設置区間を車が走行している様子(出所:鹿島)
熱海ビーチラインで光ファイバーの設置区間を車が走行している様子(出所:鹿島)
[画像のクリックで拡大表示]

 今回の実証実験は、静岡県熱海市にある有料道路「熱海ビーチライン」で実施した。熱海ビーチラインの事業は、鹿島と鹿島道路(東京・文京)が21年に設立した熱海インフラマネジメント合同会社(東京・港)が運営する。インフラの維持補修技術や環境配慮技術を実証、実装する場として使う目的で熱海ビーチラインを取得した。

位置図。青線が熱海ビーチラインを示す(出所:鹿島)
位置図。青線が熱海ビーチラインを示す(出所:鹿島)
[画像のクリックで拡大表示]

 熱海ビーチラインの全長約6.1kmのうち、実証実験の区間は65m。センサーとなる光ファイバーを車道と路肩の区画線上に敷設。光ファイバーに伝わる振動を1秒当たり数千~数万回検知する計測器「DAS(Distributed Acoustic Sensing)」を使った。実証実験では、車の走行による舗装の微細な振動をリアルタイムで計測し、走行車両の位置や速度を精密に把握できた。

実証実験の区間を通過する車の位置情報や速度の計測結果例(出所:鹿島)
実証実験の区間を通過する車の位置情報や速度の計測結果例(出所:鹿島)
[画像のクリックで拡大表示]

 鹿島は、熱海ビーチラインに設置した光ファイバーで実証実験を重ね、23年度中に実用化を目指す。23年度上期には、振動の大小による車両重量の検出や、水の衝撃による越波の検知を検証する予定だ。「路面のひび割れやわだち掘れを検知できる可能性もある」(鹿島)