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街の景観を塞ぐ13mの換気塔

 これらのデザインガイドラインを基に実際の空間デザインを決定していくために、都は05~18年に「東京駅丸の内口周辺トータルデザインフォローアップ会議」(座長:篠原修・東京大学名誉教授)を開催。メンバーは専門家のほか、都、千代田区、JR東日本、東京地下鉄、三菱地所、大手町・丸の内・有楽町地区の地権者が発足したまちづくり協議会などだ。

 同フォローアップ会議の副座長を務めた内藤廣東京大学名誉教授は、当時を次のように振り返る。

 「親会議はどうしても真面目な議論になりがち。『駅前広場と行幸通りのデザインや空間の在り方について、よりざっくばらんに自由に議論できるテーブルをつくりたい』と座長の篠原さんに相談して、都に「東京駅丸の内口周辺トータルデザインフォローアップ会議デザインワーキング」を立ち上げてもらった。当初は人が集まりすぎて、会場内に入りきらず、関係各社3人までに限定した。参加した人たちは、自由に議論してもらえるようにした」。

 デザインワーキングで内藤名誉教授が提示したのが、駅前の景観を塞いでいた高さ約13mの2つの換気塔を切り下げるという壮大なアイデアだ。

改修前後の換気塔のイメージ(資料:JR東日本)
改修前後の換気塔のイメージ(資料:JR東日本)
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 「日本各地の大きな駅前には高い換気塔がそびえている。はるばる列車に乗って街に着いた時、駅前広場は最初に街を眺めるための大切な場所だ。それなのに、そこで“もったり”とした換気塔が街の景観を塞いでいるのはどうなのかと、かねてから残念に感じていた。デザインワーキングの場で、『換気塔がなくなればずっと見通しがよくなる。何とかならないものか』と話題を振った」。(内藤名誉教授)。

 駅前広場の設計者であるジェイアール東日本コンサルタンツの技術者は、地下駅の機能確保に必要な空気流量を計算。これを受けて事業者のJR東日本が、2塔の換気塔の高さを約13mから約4mに切り下げることを決断した。

 換気塔の庇はガラスとすることで、庇の下の明るさや周辺ビルから見下ろした時のデザイン性に配慮した。庇は3mほど張り出させた。地下からの排気が、換気塔の上部から再び給気されないための工夫だ。換気塔は、内藤名誉教授が設計監修を担当した。

高さ約13mあった2つの換気塔は景観に配慮して約4mへと切り下げた(写真:安川 千秋)
高さ約13mあった2つの換気塔は景観に配慮して約4mへと切り下げた(写真:安川 千秋)
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