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シャンゼリゼ通りに匹敵する幅員

 駅前広場と行幸通りの改修整備では、東京駅と皇居の間の景観軸を一体的にデザインし、首都・東京の「顔」を創出することが求められた。景観軸をつなぐうえで大きな役割を果たしたのが、御影石による舗装、イチョウやケヤキ並木の植栽のほか、鋳鉄製の照明柱だ。

 行幸通りの照明柱は、駅前広場と同じくナグモデザイン事務所の南雲代表がデザインした。南雲代表は、1998年に完成した皇居周辺道路の道路照明も手掛けている。

 「行幸通りの幅員は約73mで、幅員約70mのパリのシャンゼリゼ通りに匹敵する広さがある。遠くから見ても行幸通りの骨格が分かるようにするためには、車道照明の存在が大事だと考えた。行幸通りの丸の内区間では、通りの両側に丸ビルや新丸ビルなどの高層ビルが立つ。これらのビルと一緒に踏ん張りながら、一定のボリュームと迫力で行幸通りの存在感を示し、かつ夜は柔らかい光を投げかける車道照明をデザインした」(南雲代表)。

 車道照明は灯具の中に心棒を設け、心棒の上部と下部にそれぞれ2つずつランプを付けた。20分の1の模型を作製し、東京駅丸の内口周辺トータルデザインフォローアップ会議で実際に点灯してみせてメンバーに説明したという。

 さらに、地面から灯具の下までの支柱は、一本の鋳鉄でできている。「ものづくりの集大成にしよう」という掛け声の下、鋳物工場や照明柱の製作メーカーなどと協働しながら、約9mの鋳鉄の一体構造を実現した。

行幸通りの車道照明。隣接する高層ビルにふさわしい迫力とボリュームを意識してデザインした。灯具の中に心棒があり、上部と下部に2つずつランプを付けた。高さ約9mの支柱部分は途中で分割することなく鋳鉄による一体構造とした(写真:安川 千秋)
行幸通りの車道照明。隣接する高層ビルにふさわしい迫力とボリュームを意識してデザインした。灯具の中に心棒があり、上部と下部に2つずつランプを付けた。高さ約9mの支柱部分は途中で分割することなく鋳鉄による一体構造とした(写真:安川 千秋)
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車道照明の20分の1の模型を手に説明する南雲代表(写真:大井智子)
車道照明の20分の1の模型を手に説明する南雲代表(写真:大井智子)
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 一方、行幸通りの中心部分の馬車道照明については、ヒューマンスケールに近付けるために低くしたうえで、ぼんぼりを思わせる和のデザインとした。南雲代表は、「行幸通りは、東京駅舎と皇居という全く異なるものを結ぶ軸線となる。基本的に馬車道照明は和のデザインとしたが、駅と皇居のどちらを背景にしても、違和感がないように工夫した。皇居側を背景にしたときは和風に見えて、駅舎を背景にしたときは洋風にも見えるイメージだ」と説明する。

行幸通りの皇居外苑区間から赤レンガ駅舎を望む。写真の両端に見えるのが馬車道照明。夜になるとぼんぼりのように、路面にやさしい光を投げかける。馬車道照明と車道照明の灯具の断面は、赤レンガ駅舎のドーム部分の屋根と同じ八角形をモチーフにデザインした(写真:大井 智子)
行幸通りの皇居外苑区間から赤レンガ駅舎を望む。写真の両端に見えるのが馬車道照明。夜になるとぼんぼりのように、路面にやさしい光を投げかける。馬車道照明と車道照明の灯具の断面は、赤レンガ駅舎のドーム部分の屋根と同じ八角形をモチーフにデザインした(写真:大井 智子)
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