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協議会を通じてユーザー目線の意見を聞く

 今回のプロジェクトの舞台となった東京駅周辺エリアでは、地権者が組織する大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会が、東京都、千代田区、JR東日本とともに同地区まちづくり懇談会を形成。これまでも地権者自身が街づくりを進めてきたという歴史がある。今回の事業者であるJR東日本と都は、こうした機会に街の将来像についての共通認識を形成してきたと言える。

 05年から18年1月まで続いた、東京駅丸の内口周辺トータルデザインフォローアップ会議のメンバーには、JR東日本や都、千代田区、三菱地所のほか、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会が入っている。「まちづくり協議会が地元の意見のとりまとめ役を担っており、プロジェクトにおけるその役目は大きかった」。同フォローアップ会議の副座長を務めた内藤廣東京大学名誉教授はこう話す。

 会議のメンバーである南雲代表も、「トータルデザインフォローアップ会議のメンバーには、地権者であるまちづくり協議会が入っていたので、『イベント時には通りをこのように使いたい』など、ユーザー目線の意見を聞くことができた。デザインする際に大いに参考になった」と振り返る。

 まちづくり協議会の会員で、かつトータルデザインフォローアップ会議の一員でもある三菱地所開発推進部の遊佐謙太郎シニア上席統括は、次のように話す。

 「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会は、銀行や商社、デベロッパーなど戦前から東京駅周辺に立地していた企業の集まりだ。街づくりにおける様々な作法を分かっている。さらに、行政や専門家が加わったトータルデザインフォローアップ会議は、全体の方向性としてよくまとまっていたように思う。会議で方針を打ち出し、会議のデザインワーキングで、専門家の人たちが相当細かくデザインをチェックする。みな責任感をもって全力で対応してきた」。

 例えば、一般的な商店街だと周囲の建物はもう少し小さいが、行幸通りでは大きな街区にスケール感の大きな高層ビルが並んでいることも、大きな特徴だ。「そうした駅前広場と行幸通りをつなぐ一連の空間は、長い歴史を経て先人によるグランドデザインで、都市としての骨格が既にしっかりと形成されていた。東京駅舎と皇居をつなぐ日本を代表する骨格なので、立派なものをつくらなければいけないという共通認識が会議の雰囲気としてあった」(遊佐シニア上席統括)。

 都が管理する行幸通りでは、これまでも国家戦略特別区域法による道路占用の規制緩和を活用して地域団体が主体となってイベントなどを実施してきた。これらのイベントは、地権者が2002年に設立した「NPO法人大丸有エリアマネジメント協会」が一部、窓口を担っている。

 大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会の谷川拓事務局次長は、「まちづくり協議会が主催メンバーの一員となり、これまでも『東京ミチテラス』や『打ち水』などのイベントを実施してきた。東京駅と皇居をつなぐ、荘厳で格式高い空間でもある行幸通りを舞台にしたイベントでは、何を実施してもよく映える。世界に向けて情報発信するようなイベントや、日本の伝統を感じる格式の高いイベントなどに、今後も活用していきたい」と意気込む。

昨年12月、駅前広場や行幸通りなどを舞台に開催された「東京ミチテラス2017」。花と光が一体となった複数のフラワーアート作品などを展示した(写真:大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)
昨年12月、駅前広場や行幸通りなどを舞台に開催された「東京ミチテラス2017」。花と光が一体となった複数のフラワーアート作品などを展示した(写真:大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)
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2017年夏に開催した「大手町・丸の内・有楽町夏祭り2017」。7月に行幸通りを舞台に盆踊りや打ち水が行われた(写真:大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)
2017年夏に開催した「大手町・丸の内・有楽町夏祭り2017」。7月に行幸通りを舞台に盆踊りや打ち水が行われた(写真:大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)
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