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権利関係が錯綜する駅前広場

 長い年月と多くの労力、コストをかけて「風格ある首都東京の『顔』をつくる」という目的をほぼ達成した東京駅丸の内駅前広場。今回のケースを、全国各地の駅前整備に生かすことができるのだろうか。

 全国にある駅前広場は、基本的には道路空間に造られた交通利便施設だ。タクシーやバスの乗降施設がひしめき合い、様々な権利関係が錯綜(さくそう)する。魅力的な駅前広場を造るためには、まずこれらの都市的な結び目を解きほぐしていく作業が必要だ。

 「全国の都市が縮退していくなかで、駅はその街にとっての生命線を握る。駅から初めて街に降り立った時の第一印象は大切だ。『この街はなかなかすてきだな』、『ごちゃごちゃしているな』といった具合に、街が備えるエッセンスのようなものを感じ取るための接点として、駅前広場が機能する。そうしたことを、行政や交通事業者、市民も理解しながら、街の『顔』をつくっていく作業をすることが駅前広場の整備だと思う。顔が駅前空間とすれば、ボディーは駅の周りに広がっている街になる」。内藤名誉教授はこう話す。

 その点で、「丸の内駅前広場は全体の図式が非常に分かりやすく明確だった」と、多くの関係者は口をそろえる。首都・東京のメーンの駅で、行幸通りは皇室の正式行事の舞台にもなる。駅前広場と行幸通りの事業者であるJR東日本と都は、いずれも大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会のメンバーで、これまでも東京駅周辺エリアの将来像について議論を重ねてきた。

 「今回のトータルデザインは、いわばその街づくりの延長線上にあり、議論が右往左往するようなことはなかった。一方、地方都市の場合は、その辺りがもう少し錯綜している場合がある。そこをうまくひも解いて整理し、街の顔づくりをするというのが、駅前広場の整備に求められていることだと思う」(内藤名誉教授)。

駅前広場から赤レンガ駅舎を見る(写真:安川 千秋)
駅前広場から赤レンガ駅舎を見る(写真:安川 千秋)
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