全2392文字
PR

羽根板への名入れイベントで大水車のファンを増やす

 大水車は完成以降、四半世紀ぶりに手を加えることになる。そこで、「改修に関わることで、新たなファンやリピーターになってもらう」(佐伯市本匠振興局地域振興課の野村勝彦副主幹)ことを目的に、様々な住民参加の取り組みを実践した。

外周部側面の輪板や中輪板に羽根板を取り付けている(写真:野瀬建設)
外周部側面の輪板や中輪板に羽根板を取り付けている(写真:野瀬建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 その1つが、「大水車改修共感プロジェクト」だ。ちらしやSNS(交流サイト)などで改修に共感する人たちを募り、現地に足を運んでもらい、新調する羽根板へ名前やメッセージを書いてもらう。当時、市の地域おこし協力隊に属し、このプロジェクトを企画した市雇用・産業支援協議会の川野幹雄氏は次のように話す。

 「完成してから単に大水車をお披露目するのではなく、改修時から人々が接点を持てるイベントを実施することで、『私たちの大水車が復活した』と感じてほしかった。部材に名前を残せば、大水車が思い出の場所になり、次の改修時期が訪れるまでの二十数年の間に、2度、3度と来てもらえるかもしれない。改修時にカップルで大水車を訪れた人が、次は夫婦で、さらに子どもを連れて訪れる、といった具合に」(川野氏)

 川野氏は大水車の稼働に影響が出ないよう、水に当たらない小さなくさび部分などに名入れすることを考えていた。水車大工で、棟梁(とうりょう)を務めた野瀬建設の野瀬秀拓代表に、この企画を相談したところ、「ぜひ使ってください。羽根板に大きく書いてもらって構わないですよ」と快諾されたという。

 市は18年8月、大水車に隣接するレストラン「水車茶屋なのはな」の売店にて、羽根板への名入れイベントを参加無料で実施した。市の野村副主幹は「予想以上の反響で、イベント期間は2週間ほどを予定していたが、最初の4日間で約500人が集まり、128枚全ての羽根板への記入が終わった。中には、生まれたばかりの赤ちゃんの足形を描いた人もいた」と振り返る。

景観に配慮して、組み立てる際に羽根板の裏側となる面にメッセージを書き込んだ(写真:佐伯市)
景観に配慮して、組み立てる際に羽根板の裏側となる面にメッセージを書き込んだ(写真:佐伯市)
[画像のクリックで拡大表示]

 水車茶屋なのはなに勤務する磯川利恵子氏は、「名入れイベントに参加した人が、後日、大水車を見に訪れることがある。大水車は本匠のシンボルで、回っていないと寂しい。台風被害で水車が止まった1年間は観光客も少なく、地域も活気づかなかった。完成以降は観光客も戻ってきた。大水車のように私たちも元気よく回り続け、水車茶屋で本匠の食の文化を伝えていきたい」と話す。

水受け部に取り付けた羽根板。メッセージが見える(写真:野瀬建設)
水受け部に取り付けた羽根板。メッセージが見える(写真:野瀬建設)
[画像のクリックで拡大表示]