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 JR大分駅から徒歩10分ほどの場所にある、多くの市民でにぎわう「線路敷ボードウォーク広場」。前編で紹介したコスト削減の取り組みと同様に、歩き心地や景観性の担保にも苦慮した。後編では、こだわりを見せた線路デッキの敷設方法について紹介する。

 広場を実現する上で、関係者の前に立ちはだかったもう1つの壁が、歩き心地や景観性、耐久性を担保しながら、緩くカーブする線路デッキをいかに敷設していくのかという点だ。

鉄道高架化で生じた線路跡地に、大分市産のスギのデッキ材に古いレールを組み合わせた「線路デッキ」を敷き詰めた(写真:イクマ サトシ)
鉄道高架化で生じた線路跡地に、大分市産のスギのデッキ材に古いレールを組み合わせた「線路デッキ」を敷き詰めた(写真:イクマ サトシ)
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 九州大学大学院の樋口明彦准教授は線路デッキの課題を探るため、、最初の計画段階で国内外の先進事例を視察。大分市都市計画部まちなみ整備課の松尾裕治参事補も、国内で関東地方の3事例を見て回った。施設管理者である自治体にもヒアリングして、デッキの弱点が浮かび上がってきた。

 それは、「デッキを固定するネジ穴を通して、下地材となる木の根太(ねだ、デッキを下で支える補強部材)に雨が染み込むことで、まず根太が腐り、これによりデッキも腐りやすくなる」ことだ。

 そのため、デッキを支える根太について、木の代わりに使えそうなエコ素材を各方面で探し回った。たどり着いたのが鳥取県のメーカーが作っていた廃プラスチックの再生材だ。この広場では、約420万個分のペットボトルのキャップを使った再生プラスチックを根太に採用している。

 「メンテナンスフリーとするために、スギのデッキ材はあらかじめネジ穴を開けてから防腐加工することにした。普通の木材は、カンナで削るなど自由自在に現場で寸法を調整できる。今回は工場で切り分けて防腐加工しているので、現場で加工できない。1ミリ単位の高い施工精度が必要だった」(松尾参事補)

 工場であらかじめ切り分けて防腐加工したデッキのサイズは、厚さ38mm、幅220mm。長さは1mを基本とし、場所ごとに異なるサイズを製作した。これらを大分県内で使われていた中古レールと組み合わせて施工した。

線路デッキの端部。レールの断面を見ることができる(写真:イクマ サトシ)
線路デッキの端部。レールの断面を見ることができる(写真:イクマ サトシ)
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