東京都心から半径約15kmのエリアを環状に結ぶ東京外環自動車道。三郷南インターチェンジ(IC)―高谷ジャンクション(JCT)間の千葉区間が2018年6月、計画から半世紀を経て開通したことは記憶に新しい。
外環道の工事の舞台は今後、関越自動車道と中央自動車道、東名高速道路を南北につなぐ延長約16.2kmの東京区間へ移る。
国土交通省などは当初、東京五輪が開かれる20年までの開通を目指したものの、用地取得の遅れ(外環道予定地全体における用地取得は18年2月時点で約9割)や高度な技術を要するトンネル工事の調整などに時間を要していることから遅れる見込みだ。
それでも工事は急ピッチで着実に進んでいる。関越道と外環道を結ぶ大泉JCTで行われた夜間の橋梁架設を追ってみた。
夜間に架設したのは「大泉ジャンクションAランプ第二橋(仮称)」。関越道から外環道の東名JCT方面へ流入させるランプ橋だ。大泉IC付近の都道24号(目白通り)をまたぐため、7月3日午後9時から翌朝午前5時ごろまでの約8時間、大泉ICを閉鎖し、目白通りを通行止めにした。
自走式の台車に橋桁を載せて移動させる送り出し工法で架設した。台車による送り出しは移動速度が速いので、今回のような作業時間に制約のある架設で多く採用されている。
事前に大泉ICの南側の施工ヤードで組み立てた橋桁を、台車を用いて目白通り上空を通過させ、中間橋脚まで動かした。外環道の東京区間で使う橋としては初めての架設だ。今回の架設工事は、12回に分けて架設する計画の1回目となる。
施工ヤードが狭いため、最大支間が116mにも及ぶこのランプ橋を一度に組み立てることはできない。そのため、まず88mの橋桁を約1年間かけて地組みし、送り出した。次に施工ヤードを空けてスペースを確保したうえで、残りの橋桁を継ぎ足して、今年の秋をめどに再び送り出す予定だ。
橋桁は大阪で製作し、分割して移送した後、施工ヤードで地組みした。
レールに相当する濃い緑色の軌条桁が敷かれ、その上に緑色の手延べ機と、台車に載っている灰色の床版を確認できる。まず手延べ機を中間橋脚に到達させて安定を保ち、橋桁を設置位置まで移動させる。重量は手延べ機が95t、橋桁が495tだ。