インバウンド(訪日外国人)の増加に伴い、都心でも筆頭格のホテル激戦区となっている東京・銀座。なかでもラグジュアリークラスのライフスタイル型ホテルとして注目されるのが「東京エディション銀座」だ。7月11日に地鎮祭を迎えた。事業主である森トラストの伊達美和子社長に、最先端ブランドの誘致に対する思いを聞いた。
インバウンドを獲得していくためには当然、世界各国の中から日本を選んでもらわなければなりません。その前提で、国内のエリア間、ホテル間で競争がある。我々がデベロッパーとして常に志向していることは、マーケットのニーズが顕在化していなくとも、将来性を見極めて投資を決めていくということです。
良い投資を実行すれば、物理的な変化と効果が見えてきます。すると、また違うことを仕掛けようと追随してくる方々が出てきます。そうした動きがいくつか集積すると、エリアが注目されるきっかけになるわけです。良い投資の連鎖が起これば、街自体が変わっていく。ホテルは、その起爆剤になり得ると考えています。
「東京エディション銀座」が2019年6月に着工しました。ライフスタイルホテルの元祖とされるイアン・シュレーガーさんと米マリオット・インターナショナルという最強のタッグが立ち上げたブランドです。
アジアをはじめ、欧州からも訪日外国人が多く訪れる銀座エリアで、いかにして街をリードし、選ばれるホテルとするか。決め手は、エディションがラグジュアリーなライフスタイル型ホテルという新しいポジショニングに挑むブランドだったことです。バジェット型よりも、地域経済に還元できるラグジュアリーホテルの方が、より将来性があると判断しました。
従来のライフスタイル型ホテルは例えば、ITデバイスを使いこなす若い世代が、そのままボーダーレスにホテルに入って日常感覚で過ごせる。そんな価値を提供してきたと思います。一方、エグゼクティブ層には、スマートな空間で緩やかに会話を楽しみながら、いつの間にかビジネスの話に移っている──という過ごし方のニーズがある。それを満たせるのは、ラグジュアリーなライフスタイル型ホテルだと考えたわけです。
シュレーガーさんとのコミュニケーションを通じ、ライフスタイル型ホテルの次のステージとして、ラグジュアリー型を提案しているのだと分かりました。かつ、同様の動きは世界各地にあってマーケットは拡大傾向にある。この最先端の動きを、いち早く東京にも取り入れたい。エディションブランドを絶対に誘致したいと考えました。虎ノ門と銀座を矢継ぎ早に開業したら相乗効果があるのではないか。そう提案したらノープロブレムである、と。両方進めましょう、という話になりました。