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日本が培ってきたものづくりの現場と米国の先端的なコンピューターソフト開発の現場に「架け橋」を渡す──。
トヨタ⾃動⾞⼦会社で⾃動運転のソフトウエア開発を⼿掛けるトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)。トヨタ⾃動⾞による⾃動運転⾞の製品化の現場と、同社⼦会社で⽶国シリコンバレーを拠点とするTRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)が取り組む先端研究との間にある、いわゆる「死の⾕(デスバレー)」を越えるための架け橋として、先⾏開発の分野を担う。
トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)の執務フロア。「ストリート」と呼ぶメインの動線を⾒る。同社は、トヨタ⾃動⾞、アイシン精機、デンソーの共同出資で18年3⽉に設⽴した(写真:永禮賢)
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同社が東京・日本橋で現オフィスを本格稼働したのは2019年12月。最前線のエンジニアを集めるオフィスは、どのように出来上がったのか。技術開発の思想と⼀体となった空間の全容を紹介する。
(注:オフィス計画時からリモートワーク対応の仕組みも整えているため、現時点では在宅勤務体制となっている)
執務フロア。本格稼動までには、2段階の内装⼯事を実施。2019年7⽉に執務フロアを完成させて移転し、同12⽉に飲⾷エリアや訪問客に対応する会議室エリアなどの工事を終えて本格稼働した(写真:日経アーキテクチュア)
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20階の訪問客⽤エントランス。⾃動⾞の製造過程で⽣じるガラスの廃材を敷き詰めた「流れる川」を配置。「橋」を渡ってアプローチする。橋の左⼿は、会社ロゴ1000個を組み合わせたアートウオール(写真:⽇経アーキテクチュア)
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訪問客用エントランスの橋を渡り切ると全長30mの巨大スクリーンがある展示スペースに出迎えられる(写真:日経アーキテクチュア)
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TRI-ADの本社オフィスは、19年3月に竣工した「日本橋室町三井タワー」の16階から20階までの5フロアに入居する。延べ面積は約2万1500m2で、20年4月時点で約520人の社員が働く。コンセプトメーキング・基本設計を日建設計が、内装デザインを日建スペースデザインがそれぞれ手掛け、実施設計・施工を鹿島が担当した。
訪問客を迎え入れる20階には、和のデザイン要素も(写真:日経アーキテクチュア)
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