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 JR原宿駅前で2020年6月5日、複合施設「WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)」(東京・渋谷)がオープンした。商業部分には、家具販売大手のイケア・ジャパン(千葉・船橋)が国内で初めて出す都市型店舗「IKEA原宿」や、大型店舗の「ユニクロ原宿店」などが入居。施設は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、6月25日まで順次開業する予定だ。3月にはJR原宿駅舎もリニューアルしたばかり。同施設が原宿の新たな目玉となるか注目だ。

JR原宿駅前の交差点から見た「WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)」。6月5日~25日で順次オープンする(写真:安川 千秋)
JR原宿駅前の交差点から見た「WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)」。6月5日~25日で順次オープンする(写真:安川 千秋)
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地下1階と地上1階のメゾネットで展開する「ユニクロ原宿店」(写真:安川 千秋)
地下1階と地上1階のメゾネットで展開する「ユニクロ原宿店」(写真:安川 千秋)
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 駅から出て、明治神宮を背に横断歩道を渡った先にウィズ原宿は建つ。もともと「原宿アパートメンツ」(1959年竣工)などが建っていた複数の敷地を集約し、一体的に再開発した。完成した建物は、間口約70mの低層部をガラスで覆い、大きな1枚の面とせず雁行させたことで、各店舗が独立した路面店であるように見せている。

低層部のガラスファサード(写真:安川 千秋)
低層部のガラスファサード(写真:安川 千秋)
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「ラフォーレ原宿」や「表参道ヒルズ」など商業施設のひしめくエリアの中でも、ウィズ原宿は最大規模だ(資料:NTT都市開発)
「ラフォーレ原宿」や「表参道ヒルズ」など商業施設のひしめくエリアの中でも、ウィズ原宿は最大規模だ(資料:NTT都市開発)
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 店舗のウィンドウ沿いに進むと、木製のメインゲートで縁取ったエントランスが現れる。人を建物内部へと誘引する、鳥居を彷彿(ほうふつ)とさせる意匠だ。

JR原宿駅に面したメインエントランス。杉を使った木のゲートは、鳥居を思わせる。パサージュの間柱及び天井には多摩産のスギ材を使用した(写真:安川 千秋)
JR原宿駅に面したメインエントランス。杉を使った木のゲートは、鳥居を思わせる。パサージュの間柱及び天井には多摩産のスギ材を使用した(写真:安川 千秋)
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 NTT都市開発がコンセプトを立案したのは2016年。17年11月に着工し、足かけ約6年でオープンまでこぎ着けた。開発コンサルタントとしてアール・アイ・エー(東京・港)が参加。設計は竹中工務店と伊東豊雄建築設計事務所(東京・渋谷)、施工は竹中工務店が担当した。

 延べ面積約2万6000m2と原宿エリアでは最大規模となる同施設だが、建物のボリュームを分節することで圧迫感を感じさせない工夫がなされている。建物は建築基準法上2棟で、エキスパンションジョイントでつないだ。

南敷地側の建物3階のテラスから、北側敷地を見る(写真:安川 千秋)
南敷地側の建物3階のテラスから、北側敷地を見る(写真:安川 千秋)
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 施設の中心となるのが、駅に近い建物(南敷地)。地下3階・地上10階建てで、高さは39.02m。地下2階から地上3、8階の低層部を約1万300m2の商業エリア、4階以上の高層部を賃貸レジデンス「WITH HARAJUKU RESIDENCE(ウィズ原宿レジデンス)」の居住エリアとした。地上3階には、300人規模のイベントを開催できる「WITH HARAJUKU HALL(ウィズ原宿ホール)」や、NTT都市開発が展開するシェアスペース「LIFORK原宿(リフォーク原宿)」も入る。

 一方、竹下通りや住宅街に近い建物(北敷地)は、地下1階・地上2階建てで、高さは13.47m。それぞれの店舗面積は大きくせず、路地裏を介して入るようなつくりとした。

「丘」を想起させる段状の緑化屋根

 特徴は、建物を通貫する半屋外のパサージュだ。パサージュをたどると、駅前から静かな住宅街へ、雰囲気の異なる2つのエリアがつながる感覚を得られる。

パサージュ。駅側のエントランスから入ると、上階からの光が差し込み、視界が空に抜けるようなつくりになっている(写真:安川 千秋)
パサージュ。駅側のエントランスから入ると、上階からの光が差し込み、視界が空に抜けるようなつくりになっている(写真:安川 千秋)
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 NTT都市開発商業事業本部商業・ホテル開発部の杉木利弘担当課長は、「これまで有名ブランドが連なる表参道と、若者カルチャーを発信する竹下通りは、人の行き来があまりなかった。ウィズ原宿ができたことで、両エリアをつなぐ新たな人の動線を生み出せた」と語る。

 敷地の辺りはかつて「源氏山」という地名がついた丘陵地だったという。JR原宿駅側と竹下通り側で比較すると、およそ8mの高低差がある。パサージュの駅側は地上1階だが、竹下通り側は地下1階に当たる。

 竹下通り側から建物を見上げると、植物が植わった屋根が何層にもレイヤーになって重なるさまが目に入る。植栽のほとんどを関東に自生する在来種から選んだという。その風景は、まさに「丘」と呼べるだろう。

竹下通り側からウィズ原宿のパサージュへと続く小道。パサージュは午前7時半から午後11時半まで通行できる(写真:安川 千秋)
竹下通り側からウィズ原宿のパサージュへと続く小道。パサージュは午前7時半から午後11時半まで通行できる(写真:安川 千秋)
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 「フロアごとに屋根の形状が変わっていくのは、デザインのためと思われるかもしれないが、日影基準をクリアするために計算された結果を反映している」と杉木担当課長は説明する。

 日影規制や圧迫感に配慮した1つの要因が、2つの用途地域だ。駅側は商業地域だが、竹下通り側は第二種中高層住居専用地域となる。周囲は住宅や細い路地が入り組む。