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 読売新聞グループ本社、読売巨人軍、東京ドームの3社は2020年7月20日、読売巨人軍の本拠地である「東京ドーム」(東京都文京区)における新型コロナウイルス感染予防対策などの今後の展開を発表した。

 7月28日から開始を予定する「有観客試合」に向け、換気能力向上などのハード、および感染者との接触を通知する「コロナ追跡」システムなどのソフト両面から、新たに進める取り組みを説明した。「世界トップレベルの清潔・安全・快適なスタジアム」を目指すとしている。総額100億円規模の設備投資を見込む。

読売巨人軍代表取締役社長の今村司氏、読売新聞グループ本社代表取締役社長兼読売巨人軍取締役オーナーの山口寿一氏、東京ドーム代表取締役社長執行役員の長岡勤氏、聖マリアンナ医科大学感染症センター長の国島広之氏の4人(写真左より)が会見に臨んだ。感染症や労働衛生分野の専門家として国島氏の他、労働安全衛生総合研究所統括研究員の吉川徹氏が参画。また、空気清浄や換気の面ではダイキン工業がプロジェクトに関わっている(写真:日経クロステック)
読売巨人軍代表取締役社長の今村司氏、読売新聞グループ本社代表取締役社長兼読売巨人軍取締役オーナーの山口寿一氏、東京ドーム代表取締役社長執行役員の長岡勤氏、聖マリアンナ医科大学感染症センター長の国島広之氏の4人(写真左より)が会見に臨んだ。感染症や労働衛生分野の専門家として国島氏の他、労働安全衛生総合研究所統括研究員の吉川徹氏が参画。また、空気清浄や換気の面ではダイキン工業がプロジェクトに関わっている(写真:日経クロステック)
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 東京ドームは、日本初の全天候型多目的スタジアムとして1988年3月に開業。野球以外に、コンサートや展示会など通年で多様なイベントを開催してきた。現在の収容人数は最大約5万5000人、野球の試合開催時は約4万6000人。設計は日建設計、竹中工務店、施工は竹中工務店が手掛けた。膜屋根を浮揚させた状態を保つため、加圧送風機によってドーム内の気圧を屋外よりもわずかに高める設備システムを当初から備えているのが特徴だ。

 今回、まず第一に、余力のあった加圧送風システムを活用し、換気能力の増強を図る。

加圧送風システムを活用する換気のイメージ。稼働させる加圧送風機の台数を1.5倍にして、換気量を5割増強する。既存設備で対応できるため、7月28日から運用開始する(資料:東京ドーム)
加圧送風システムを活用する換気のイメージ。稼働させる加圧送風機の台数を1.5倍にして、換気量を5割増強する。既存設備で対応できるため、7月28日から運用開始する(資料:東京ドーム)
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新鮮外気を導入し、観客席に向けて緩やかに風を送る(資料:東京ドーム)
新鮮外気を導入し、観客席に向けて緩やかに風を送る(資料:東京ドーム)
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観客席の下部などにある既存の排気ルートよりコンコース側に排出する(資料:東京ドーム)
観客席の下部などにある既存の排気ルートよりコンコース側に排出する(資料:東京ドーム)
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外壁側上部から屋外に全量を排出する(資料:東京ドーム)
外壁側上部から屋外に全量を排出する(資料:東京ドーム)
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 加圧送風機に関しては、冬季の積雪時や、火災避難の際の全扉開放による減圧時にも膜が降下しないよう、余裕のある36台を備えている。通常の試合開催時は12台程度の稼働で間に合っていたものを18台の稼働に増やし、現状の毎時の給気量約120万m3を、1.5倍の180万m3にまで高める。

 送風した空気は滞留させず、観客席の下部などにある既存の排気ルートから場外に排出。来場者の利用する1・2階エリア、バルコニー席、およびグラウンドレベルにおける換気量がアップし、観客席付近の空気は1時間当たり3.7回換気される計算になる。

スタジアム内。給気口が観客席上方に並んでいる。換気量のアップなどによっても室温を快適に保てるよう、来季には冷房能力増強工事を実施する(写真:東京ドーム)
スタジアム内。給気口が観客席上方に並んでいる。換気量のアップなどによっても室温を快適に保てるよう、来季には冷房能力増強工事を実施する(写真:東京ドーム)
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東京ドーム外観(撮影は対策発表日とは異なる)。低ライズケーブル補強空気膜構造を採用、四フッ化エチレン樹脂コーティングガラス繊維布(PTFE膜)を張っている。いわゆる「東京ドーム1個分」といわれる建築面積は4万6755m2、グラウンド面からのドームの高さは約61.7m、気積は約124万m3(写真:日経クロステック)
東京ドーム外観(撮影は対策発表日とは異なる)。低ライズケーブル補強空気膜構造を採用、四フッ化エチレン樹脂コーティングガラス繊維布(PTFE膜)を張っている。いわゆる「東京ドーム1個分」といわれる建築面積は4万6755m2、グラウンド面からのドームの高さは約61.7m、気積は約124万m3(写真:日経クロステック)
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 また、空調を停滞させずに換気を促すために、コンコースに大型の送風機30台を設置。来場者が気流を感じることによる快適性の向上にも機能させる。さらに、大量人員の退場時や避難時などに特別に使用する場内16カ所の「バランス扉」の一部を、一斉換気のために定期的に開放する措置も講じる(通常は加圧コントロールのために回転扉を使用する)。

コンコースに、指向性が高く、かつ低騒音の搬送ファン(大型送風機)を設置する。写真は既に設置済みの4階の様子(写真:東京ドーム)
コンコースに、指向性が高く、かつ低騒音の搬送ファン(大型送風機)を設置する。写真は既に設置済みの4階の様子(写真:東京ドーム)
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搬送ファンによる送風のイメージ(資料:東京ドーム)
搬送ファンによる送風のイメージ(資料:東京ドーム)
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コンコースに搬送ファンを設置した場合の空気の流れのシミュレーション。青色が鮮やかになっている部分で、空気の流れのスピードが向上している。空気をかき混ぜずに、排気される場所に向けて的確に移動させる(資料:東京ドーム)
コンコースに搬送ファンを設置した場合の空気の流れのシミュレーション。青色が鮮やかになっている部分で、空気の流れのスピードが向上している。空気をかき混ぜずに、排気される場所に向けて的確に移動させる(資料:東京ドーム)
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