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 大深度地下に建設中の東京外かく環状道路(外環道)大泉ジャンクション(JCT)―東名JCT間の事業費が、これまでの見込みから7600億円増えて2兆3575億円に膨れ上がることが分かった。国土交通省関東地方整備局が2020年7月30日に開催した事業評価監視委員会で明らかにした。

外環道の大泉JCT―東名JCT間の事業概要(資料:国土交通省関東地方整備局)
外環道の大泉JCT―東名JCT間の事業概要(資料:国土交通省関東地方整備局)
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 同区間は09年に事業化され、16年度の再評価で事業費を見直している。今回の再評価で、当初に見積もった事業費1兆2820億円の2倍近くに増大した。

 外環道大泉JCT―東名JCT間は、東京区部の西端付近を南北に走る延長16.2kmの6車線道路だ。大深度地下使用法の適用を受け、地下40mよりも深い位置にトンネルを構築する。国交省と東日本高速道路会社、中日本高速道路会社の3者が、「合併施行」で事業を進めている。

 事業費の分担割合は未定だが、国交省は「できるだけ多く高速道路会社に負担してもらう方向で検討する」(関東地整道路計画第一課)としている。今回の事業費見直しの前は、東日本高速が約5200億円、中日本高速が約4500億円を負担することになっていた。

(資料:国土交通省関東地方整備局)
(資料:国土交通省関東地方整備局)
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 事業費増大の主な要因は、中央自動車道と接続する中央JCTの地中拡幅部における断面形状や工法の変更などだ。2つの大断面トンネルの合流部を非開削で構築するため、施工の難度が極めて高い。

 当初は曲線パイプルーフ併用NATMで馬てい形の断面を想定していたが、国交省が設置した有識者委員会の提言を受けて円形断面に変更した。施工中の耐力を確保し、局所的な応力集中を避けるためだ。併せて、外殻シールドを構築して地山を安定させながら、本体の躯体を構築する工法を採用した。

有識者委員会の提言を受け、トンネルの断面を円形に変更したことがコスト増の一因となった(資料:国土交通省関東地方整備局)
有識者委員会の提言を受け、トンネルの断面を円形に変更したことがコスト増の一因となった(資料:国土交通省関東地方整備局)
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 その他、現地の地質調査や地下水調査の結果を踏まえた対策工法の見直しによる増額も相次いだ。大泉JCT側の本線シールドトンネルで軟弱地盤対策などが必要となり、670億円増額。東名JCT付近で本線シールドトンネルを掘削中に、工事で使う空気の一部が地上に漏出したのを受け、空気不使用の方法に変更したことも増額要因となった。

 今回の再評価で、投資額に対する経済効果を示す「費用便益比」(B/C)も大幅に低下した。この数値は、道路の開通による移動時間の短縮効果などを金銭換算した「便益」を、事業費で割ったものだ。これまで事業全体のB/Cは1.9だったが、今回の再評価で1.01に下がった。

 事業費の増大に加えて、開通予定時期の大幅な延期に伴う便益低下も影響した。16年度の再評価では21年度からの供用と見込んでいたが、今回は31年度として便益を算出した。