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 直線的で真っ白な「潔い」デザイン──。クリエーティブディレクターであるサムライ代表の佐藤可士和氏による公衆トイレが、東京・渋谷のJR恵比寿駅西口に誕生した。「恵比寿駅西口公衆トイレ」は2021年7月15日に供用を開始した(住所は恵比寿南1-5-8)。

渋谷区のJR恵比寿駅に隣接する「恵比寿駅西口公衆トイレ」。真っ白な箱のような外観が特徴。デザインはクリエーティブディレクターの佐藤可士和氏が担当した(写真:日経クロステック)
渋谷区のJR恵比寿駅に隣接する「恵比寿駅西口公衆トイレ」。真っ白な箱のような外観が特徴。デザインはクリエーティブディレクターの佐藤可士和氏が担当した(写真:日経クロステック)
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 この公衆トイレは、1辺が約6mの正方形の平面をしている。4辺のうち、歩道側の壁3面を白いアルミルーバーで覆った。だから真っ白な箱のように見える。

恵比寿駅西口公衆トイレが立つ敷地と周辺の様子(資料:大和ハウス工業)
恵比寿駅西口公衆トイレが立つ敷地と周辺の様子(資料:大和ハウス工業)
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トイレの入り口は、施設の裏手(JRの線路側)にある。アルミルーバーは宙に浮いている。佐藤可士和氏がデザインしたピクトサイン以外は、公衆トイレを思わせるものが歩道からは見当たらない(写真:日経クロステック)
トイレの入り口は、施設の裏手(JRの線路側)にある。アルミルーバーは宙に浮いている。佐藤可士和氏がデザインしたピクトサイン以外は、公衆トイレを思わせるものが歩道からは見当たらない(写真:日経クロステック)
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 1辺当たりのアルミルーバー数は50本(分割施工した実際の部材数は200本)。足元は50cmほど浮いている。換気を良くし、建物の中が見えるようにする工夫だ。高さは約4mある。

 佐藤可士和氏のデザインを受け、トイレを設計・施工した大和ハウス工業から平面図と断面図を入手したので掲載しておく。

恵比寿駅西口公衆トイレの平面図。敷地面積は約40m<sup>2</sup>(資料:大和ハウス工業)
恵比寿駅西口公衆トイレの平面図。敷地面積は約40m2(資料:大和ハウス工業)
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恵比寿駅西口公衆トイレの断面図(資料:大和ハウス工業)
恵比寿駅西口公衆トイレの断面図(資料:大和ハウス工業)
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 設計を担当した大和ハウス工業東京本店東京建築設計部設計第三部多摩建築設計課の渡部萌主任は、「佐藤可士和氏のデザインに興味があり、社内のトイレプロジェクトの公募に手を挙げた」と明かす。内部のトイレブースの設計は任せてもらったというが、「外装の浮かせるフラットなルーバーに、佐藤可士和氏はこだわった。実現するため、内部の建物上部から鉄骨でルーバーをつる構造を採用した」と説明する。

 ただ、人通りが多いターミナル駅周辺の現場だったため、大和ハウス工業は施工で苦労した。日中は歩道を封鎖できず、施工は深夜作業になることが多かったからだ。

裏手に回ると、ようやくトイレが見える(写真:日経クロステック)
裏手に回ると、ようやくトイレが見える(写真:日経クロステック)
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 もっとも、白いルーバーで囲った施設はピクトサインを除けば、公衆トイレとは気づきにくい見た目をしている。実は佐藤可士和氏は公衆トイレでありながら、そうとは思わせないデザインを選択している。通常はあり得ないだろうが、今回はクリエーターのアイデアが尊重された。

 ルーバーの内側にあるトイレブースは5つ。ブースの中は普通のつくりだが、内装は白にこだわった。このトイレの名前はズバリ、「WHITE(ホワイト)」である。明るく清潔感のある真っ白なトイレだ。

ルーバーの内側の建物に、5つのトイレブースがある(写真:日経クロステック)
ルーバーの内側の建物に、5つのトイレブースがある(写真:日経クロステック)
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トイレブースの中も真っ白だ。トイレ機器はTOTOが担当(写真:日経クロステック)
トイレブースの中も真っ白だ。トイレ機器はTOTOが担当(写真:日経クロステック)
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トイレの建物とルーバーの間の通路は天井が抜けており、空が見える(写真:日経クロステック)
トイレの建物とルーバーの間の通路は天井が抜けており、空が見える(写真:日経クロステック)
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トイレは少し離れた場所から見ると、まさに白い箱に見える。遠目にはトイレと思えない(写真:日経クロステック)
トイレは少し離れた場所から見ると、まさに白い箱に見える。遠目にはトイレと思えない(写真:日経クロステック)
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