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 神社の前に生えた大きな3本のキノコ。実はこれ、公衆トイレだ。建築家の伊東豊雄氏がデザインした「代々木八幡公衆トイレ」が、2021年7月16日に東京・渋谷で供用を開始した(住所は代々木5-1-2)。伊東氏によって「Three Mushrooms(スリー・マッシュルームズ)」と名付けられたトイレは、代々木八幡宮の森に寄り添うようにひっそりと立っている。

建築家の伊東豊雄氏がデザインした「代々木八幡公衆トイレ」。地面からキノコが生えてきたような独立したトイレが3棟並ぶ(写真:日経クロステック)
建築家の伊東豊雄氏がデザインした「代々木八幡公衆トイレ」。地面からキノコが生えてきたような独立したトイレが3棟並ぶ(写真:日経クロステック)
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代々木八幡宮の森に寄り添うように、ひっそりと立つ(写真:日経クロステック)
代々木八幡宮の森に寄り添うように、ひっそりと立つ(写真:日経クロステック)
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 名称の通り、このトイレは代々木八幡宮の前にある。最寄り駅は小田急線の代々木八幡駅、または東京メトロ千代田線の代々木公園駅だ。

 建物はキノコ型をした円柱形を基本とし、足元は地面からキノコが生えてきた感じを出すため、曲線のデザインを採用している。設計を担当した大和ハウス工業東京本社集合住宅事業本部設計推進部中高層設計部設計第二グループの鎌田広担当課長は普段、集合住宅を手掛けており、「直方体の建物ばかり設計してきた。曲線だらけの施設を設計するのはまれなので、刺激的で勉強になった」と振り返る。

 トイレの建物の表面は、地層のようなグラデーションの模様をしている。この柄は、色が異なる丸いタイルを外壁に張って構成している。

円柱形のトイレの表面は地層のようだ。外壁の模様は色が異なる丸いタイルを張って仕上げた(写真:日経クロステック)
円柱形のトイレの表面は地層のようだ。外壁の模様は色が異なる丸いタイルを張って仕上げた(写真:日経クロステック)
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トイレ内部も円形だが、直線の壁を立ててトイレ機器を設置している。中央の「だれでもトイレ」は床面積が7.84m<sup>2</sup>と広く、天井も高い(写真:日経クロステック)
トイレ内部も円形だが、直線の壁を立ててトイレ機器を設置している。中央の「だれでもトイレ」は床面積が7.84m2と広く、天井も高い(写真:日経クロステック)
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トイレの足元は、地面からキノコが曲線を描いて立ち上がってきたようなデザイン(写真:日経クロステック)
トイレの足元は、地面からキノコが曲線を描いて立ち上がってきたようなデザイン(写真:日経クロステック)
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 トイレの目の前を走るのは、都内の環状道路の1つである山手通りである。交通量は多い。デザイナーのNIGO氏のトイレは原宿の明治通り沿いに立つが、伊東氏のトイレは1本外側の山手通りに立つ。

代々木八幡公衆トイレは、交通量が多い山手通り沿いに立つ(写真:日経クロステック)
代々木八幡公衆トイレは、交通量が多い山手通り沿いに立つ(写真:日経クロステック)
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 伊東豊雄氏のデザインを受け、トイレを設計・施工した大和ハウス工業から平面図と断面図を入手したので掲載しておく。

代々木八幡公衆トイレの平面図(資料:大和ハウス工業)
代々木八幡公衆トイレの平面図(資料:大和ハウス工業)
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代々木八幡公衆トイレの断面図(資料:大和ハウス工業)
代々木八幡公衆トイレの断面図(資料:大和ハウス工業)
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 3つのトイレはそれぞれ、ぐるっと1周できるように立っている。行き止まりがなく、死角をつくらないための工夫だ。

3棟のトイレは周囲を回遊でき、死角をなくして安全性を高めた(写真:日経クロステック)
3棟のトイレは周囲を回遊でき、死角をなくして安全性を高めた(写真:日経クロステック)
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3棟の間の通路には行き止まりがなく、視線が抜ける(写真:日経クロステック)
3棟の間の通路には行き止まりがなく、視線が抜ける(写真:日経クロステック)
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 トイレには、円盤のようなステンレスの屋根を架けた。屋根と躯体の間にはガラスをはめ込んでいる。

円盤型のステンレス屋根が架かる(写真:日経クロステック)
円盤型のステンレス屋根が架かる(写真:日経クロステック)
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屋根の下のガラスから、トイレの中に光が差し込む(写真:日経クロステック)
屋根の下のガラスから、トイレの中に光が差し込む(写真:日経クロステック)
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 3つのトイレのうち、女子トイレだけは形が少し異なる。円柱を2つくっ付けたような形状をしている。

女子トイレの建物は「双子のキノコ」のような形状をしている(写真:日経クロステック)
女子トイレの建物は「双子のキノコ」のような形状をしている(写真:日経クロステック)
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 男子トイレは円柱だが、後ろ半分が開いており、小便器が並ぶ。ここには扉がない。

男子トイレの小便エリアには扉がない。建物の後ろに曲面の壁を設け、そこに手洗いを設置している(写真:日経クロステック)
男子トイレの小便エリアには扉がない。建物の後ろに曲面の壁を設け、そこに手洗いを設置している(写真:日経クロステック)
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