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 東京都大田区の羽田空港と川崎市の臨海部をつなぐ「多摩川スカイブリッジ」が2022年3月12日に開通した。多摩川を挟んだ両エリアに一体的な国際的ビジネス拠点が形成されることで、日本の国際競争力の強化につながると期待されている。開通直前の内覧会および開通式と、これまでの工事過程を振り返る。

 かつて「羽田空港跡地」と呼ばれていた羽田空港周辺の再開発エリアは、「羽田グローバルウイングズ(HANEDA GLOBAL WINGS)」と名付けられ、羽田空港に近い立地を生かしたまちづくりが進む。一方、多摩川を挟んでその対岸に位置する川崎市川崎区殿町地区は、国際戦略拠点「キングスカイフロント(KING SKYFRONT)」の愛称でオープンイノベーション拠点としての整備が進む。多摩川スカイブリッジによって、両エリアが結ばれた。

上流からの「多摩川スカイブリッジ」全景(写真:大上 祐史)
上流からの「多摩川スカイブリッジ」全景(写真:大上 祐史)
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位置図。赤色の太線部分が「多摩川スカイブリッジ」(資料:川崎市)
位置図。赤色の太線部分が「多摩川スカイブリッジ」(資料:川崎市)
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 多摩川スカイブリッジに川崎側の取り付け部を含む「羽田連絡道路」は、事業主体が東京都と川崎市で、川崎市が施行主体となって整備した。東京側の取り付け部は国土交通省の施行だ。施工は五洋建設・日立造船・不動テトラ・横河ブリッジ・本間組・高田機工JVが担った。事業費は約300億円で、うち橋梁部が東京都と川崎市の折半負担で約260億円、川崎側の取り付け部が川崎市の負担で約40億円だ。

 17年秋に工事を開始。19年に東日本台風で河川内に大量の土砂が堆積したため工期が当初の予定より約1年延びた。多摩川スカイブリッジの名称は公募で決定した。

 羽田連絡道路の道路延長は約840m。うち橋梁部は延長が約675mで、標準幅員が17.3m。多摩川に架かる橋梁で最も長く、下流に位置する。羽田空港に隣接しているため、航空法による高さ制限を受ける。上部工の橋梁形式は、鋼3径間連続鋼床版箱桁(複合ラーメン)を採用し、川崎側のアプローチ部を鋼2径間連続鈑桁とした。河口に広がる生態系保持空間を保全するため、河川内の橋脚を2基にとどめた。最大支間長240mは国内の複合ラーメン橋で最長だ。

川崎側から見た「多摩川スカイブリッジ」(写真:大上 祐史)
川崎側から見た「多摩川スカイブリッジ」(写真:大上 祐史)
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