東急不動産が東京・渋谷の道玄坂1丁目に建設している、鉄骨造と木造の混構造を採用したオフィスビル「COERU SHIBUYA(コエル シブヤ)」が2022年6月末に竣工する予定だ。地上13階建てで、高さが約48mの縦長な中規模ビルである。鉄骨造と木造のハイブリッド構造ビルとしては、竣工時点では国内最大級の階数になる見通しだ。
COERU SHIBUYAの敷地面積は174.56m2、延べ面積は1408.19m2。1フロアの面積は約30坪で、従業員数が15人ほどの中小企業に1フロア単位で貸し出すことを想定している。道玄坂の中腹に位置し、渋谷駅まで数分の距離だ。街区の角地に立ち、日当たりも見晴らしも良い。
日経クロステックは、約1カ月後にビルの完成を迎える22年5月中旬に、一足早く内部を取材した。内装仕上げが佳境を迎えた施工の最終段階の様子を、写真を中心に紹介する。
COERU SHIBUYAの最大の特徴は、ラチス状の木・鉄骨のハイブリッド耐震システム「木鋼組子(もっこうくみこ)」を国内で初めて採用したことだ。木鋼組子は前田建設工業とホルツストラ(東京・杉並)が共同開発した耐震システムで、共同で特許出願している。COERU SHIBUYAは前田建設工業が設計・施工を担当している。
そもそも木鋼組子とは、鉄骨の芯材を木で挟み、ラチス状にユニット化したシステムだ。鋼材が引っ張り力を、木材が圧縮力を負担する。
フロアの外周2面に設置した木鋼組子は木が現しになっていて、インパクトがある。近づくと、木の香りがする。
周囲に植栽や木製家具を並べると、自然を感じるカフェのような雰囲気のオフィスになる。実際、「カフェなどの店舗としてもフロアを利用できるのが、COERU SHIBUYAの特徴だ。用途はオフィスだけに限定していない」と、東急不動産都市事業ユニット開発企画本部開発第二部事業企画グループの鈴木結佳主任は説明する。
木鋼組子は一番外側のガラス窓より少し内側に、壁状に配置している。木のブレースで、建物の靭性を高めている。窓際にあるので、木を現しにした木鋼組子が外からもよく見える意匠になっている。