東京都内の環状7号(環7)と目白通りの地下で、「環状7号線地下広域調節池(石神井川区間)」の整備が進む。台風などで大雨が降った際、河川からあふれる雨水を一時的に逃す巨大なトンネル式地下調節池だ。工事が進む発進たて坑(妙正寺川たて坑)を取材した。
環7の地下では、既に「神田川・環状7号線地下調節池」と「白子川地下調節池」が供用されている。
環状7号線地下広域調節池(石神井川区間)は、東京都中野区野方5丁目にある発進たて坑(妙正寺川たて坑)から環7と目白通りの地下を通り、練馬区高松3丁目の到達たて坑(石神井川たて坑)まで、延長約5.4kmのトンネルをシールド工法で構築する。さらに、供用したトンネルを維持・管理するための中間たて坑を練馬区豊玉中3丁目にニューマチックケーソン工法で構築。中間たて坑とトンネルとの連結管を開放型シールド工法で整備する。東京都が発注し、大成建設・鹿島・大林組・京急建設JVが施工を手掛ける。
この調節池を整備することで、既に供用中の神田川・環状7号線地下調節池と白子川地下調節池とを連結し、より効果の高い調節池を築く。完成すると総延長が13.1km、総貯留量は小学校のプール約4800杯分に相当する143万m3の国内最大の地下調節池となる。1時間当たり最大75mmの降雨に対応した洪水を貯留できるだけではない。白子川と石神井川、妙正寺川、善福寺川、神田川の計5河川間にまたがることから、貯留量を複数の流域間で相互に融通し、1時間当たり100mmの局地的かつ短時間の集中豪雨にも効果を発揮する。
トンネルの掘進には泥水式シールド工法を採用した。シールド機は外径13.45m、長さ12.91m、重量約2500t、装置推力は16万3200kN(2400kN×68本)。ビット(超硬合金製の刃)を装着した緑色のカッターヘッドによる回転で土砂を削り取る。一方、粘性を持たせた泥水を送泥管でカッターヘッド後部のチャンバーへ送り、圧力をかけて地山の土水圧に対抗させて切り羽(掘削面)の安定を図る。掘削した土砂は、泥水と一緒に排泥管で地上に搬出する。
掘削と同時に、セグメントと呼ばれる円弧状のブロックを組み合わせてトンネルの壁を構築。トンネルを円筒形にすることで、地中のあらゆる方向からの力に対して安定した高い強度を保つ。シールド機は組み立てたセグメントをシールドジャッキで押すことによって進行方向へ掘進する。