野村不動産は、2022年10月に開業予定のオフィスビル「H1O(エイチワンオー) 青山」の建設を、東京都渋谷区の外苑西通り沿いで進めている。H1O 青山は柱と梁(はり)の一部に木材を利用した木造と鉄骨造のハイブリッド構造を採用しているのが大きな特徴だ。完成すると、地上7階建ての賃貸オフィスビルになる。高さは約31m。
木造部分には、熊谷組が開発した木質耐火部材「断熱耐火 λ-WOOD(ラムダウッド)」を採用した。ラムダウッドは木質耐火部材として国土交通大臣認定を取得しており、H1O 青山は熊谷組の福井本店に続き、2件目の導入プロジェクトになる。
H1Oは野村不動産が展開する、従業員10人未満を想定した小規模オフィスマーケット向けのブランドだ。H1O 青山で初めて、木造ハイブリッド構造の採用に踏み切った。
野村不動産と熊谷組が共同で建物を設計し、施工は熊谷組が手掛けている。熊谷組は17年に業務・資本提携した住友林業が持つ木の知見を生かしながら、設計と施工を行っている。
現在は22年8月末の竣工に向けて、内外装の仕上げを進めているところだ。日経クロステックは同年6月下旬、初めて建設現場の取材を許された。どこよりも早く、話題の木質ビルを紹介する。
計画地は青山通りと外苑西通りの交差点のすぐ北西側で、その先には国立競技場がある。敷地面積は約453m2、建築面積は約317m2、延べ面積は約1814m2だ。人気の青山エリアの一等地に立つ。
まずはこの建物が採用した木造ハイブリッド構造を頭に入れておこう。地上2~7階の前面道路側1スパンを木造にし、その他は鉄骨造になっている。
「このハイブリッド構造プランを熊谷組から提案され、木を使った上質なオフィス空間を検討していた当社の考えと合致した。そこで共同設計に取り組むことにした」と、野村不動産都市開発第一事業本部建築部推進課の加々美友則課長は明かす。
それでは賃貸オフィスの1室に行ってみる。外苑西通りに面する角部屋では、柱に表面仕上げの木板を張る作業をしているところだった。柱と梁にはスギ材のラムダウッドを用いている。
オフィスフロアを後にして、2階の共用部に移動した。ここは入居者の従業員が利用できるラウンジスペースにする。木質の内装デザインになる予定だ。