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 東京都練馬区から板橋区にかけて広がる都立城北中央公園を歩いていると、城壁のような囲いの中にそびえ立つ、何台もの巨大なクレーンに目を奪われる。石神井川が流れる地域を大雨による水害から守るため、東京都が公園東側の地下に整備する「城北中央公園調節池(1期)」の現場だ。重機の遠隔操作を取り入れ、日本最大級の規模の工事が進む様子を取材した。

都立城北中央公園から見た「城北中央公園調節池(1期)」の現場(写真:大上 祐史)
都立城北中央公園から見た「城北中央公園調節池(1期)」の現場(写真:大上 祐史)
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 台風や集中豪雨による水害を防ぐことを目的に、東京都では河川の整備による治水対策を進めている。都内で発生した1時間当たり50mmを超える降雨は、1980年から89年までの10年間で20回だったが、2010年から19年までは同じ10年間で3倍超に増えた。特に10年7月5日の集中豪雨では板橋区の観測所で1時間当たり114mmの雨量を観測し、石神井川流域でも家屋浸水が発生した。

 都はこれまで石神井川について1時間当たり50mmの降雨に対応する整備を進めてきたが、近年の気象状況を踏まえて現在は75mmに引き上げて整備している。1時間当たり50mmの降雨までは河川で対応し、50mmを超える降雨については調節池などで対応する方針だ。

 荒川水系の1級河川である石神井川は、東京都小平市から西東京市、練馬区、板橋区、北区を通って東側へ流れ、隅田川に合流する。河川延長は25.2km。22年5月時点で、護岸整備が約76%完了している。

城北中央公園調節池の位置図(資料:戸田建設)
城北中央公園調節池の位置図(資料:戸田建設)
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 石神井川は都立城北中央公園に沿って流れている。大雨の際、石神井川の水を公園東側の地下に整備する城北中央公園調節池へと一時的に流し込む。調節池が完成した後は上部を公園として整備する予定だ。

 工事はニューマチックケーソン工法を採用した。ニューマチック(pneumatic)は空気、ケーソンは(caisson)は大型の箱を意味する。ケーソンと呼ぶ鉄筋コンクリート(RC)構造物を地上に造り、ケーソン下部に機密性の高い作業室を設けて、空気圧により地下水の浸入を防ぎながら掘削し、地下に沈める工法だ。2函(かん)のケーソンを隣接して構築し、最後にケーソン同士を接続する。2函のケーソンを同時に沈下させる工事としては日本最大級の規模だ。

城北中央公園調節池の平面図(資料:戸田建設)
城北中央公園調節池の平面図(資料:戸田建設)
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