世界的建築家の丹下健三(1913~2005年)が東京・銀座で手掛けた「静岡新聞・静岡放送東京支社」の改修工事が2022年5月に完了した。円筒形のコアを中心に竣工当時の設計思想を継承し、内側に鋼板と炭素繊維を重ねて耐震性を高めた。メタボリズム(新陳代謝)建築が相次ぎ解体される中、オフィスビルの機能を向上させて建物の保存活用を実現した。
東京・銀座の外堀通りに沿って立ち並ぶオフィスビル群の南端に、円筒形の建物の頭が突き出ている。足元から見上げると、まるで1本の木の幹から枝葉が伸びるような構造を、そのまま建築のスケールまで拡大したような造形に圧倒される。丹下健三が設計に携わり、1967年に竣工した「静岡新聞・静岡放送東京支社」だ。
建物には静岡新聞社(静岡市)や静岡放送(静岡市)を傘下に持つ静新SBSグループと、山梨放送(甲府市)を中核とする山日YBSグループが都内の拠点を置く。
銀座と新橋の境に立つランドマークとして親しまれてきたが、旧耐震基準の建物だったために地震対策が必要となった。新築時の施工から内外装・設備の改修まで一貫して携わってきた大成建設が、1999年に続く2回目の設備更新と併せて全面的な改修を手掛けることとなった。