ヤンマーホールディングス(大阪市)は2023年1月13日、東京・八重洲に複合施設「YANMAR TOKYO(ヤンマー東京)」を開業した。JR東京駅八重洲口の目の前にあった旧ヤンマー東京ビルの跡地に、新しいビルを建設した。
場所は、八重洲通りと外堀通りが交差する角地という絶好のロケーションだ。東京駅の八重洲口を出ると、最初に目に飛び込んでくるビルの1つである。高さは約70mだ。
YANMAR TOKYOの外観はシルバー色で、ヤンマーの事業領域である船舶の帆や舳(へさき)をモチーフにした形状デザインを取り入れている。駅方向に開いた地上エントランスは、魚が口を開けているような軒下空間を形成している。建物の設計は日建設計、施工は竹中工務店が手掛けた。
エントランス空間には、ヤンマーの象徴である赤いトラクターと、稲わらでつくった巨大なロゴマークを設置した。
地下3階・地上14階建てのYANMAR TOKYOは、オフィスと商業施設から成る。同月12日の「YANMAR TOKYO」開業記念セレモニーで登壇したヤンマーホールディングスの山岡健人社長は、「創業者の精神やビジョンの根底にあった当社の価値観『HANASAKA(ハナサカ)』を体現する場として、YANMAR TOKYOを位置付ける」とあいさつした。
東京駅前の一等地から、ヤンマーの主力製品であるエンジンや農機、建機、船舶機器、エネルギー機器などと関連が深いテーマを訴求していく。そのために地下1階から地上2階までの3フロアはヤンマーグループのブランド発信拠点とし、米と農業の可能性を「花咲かせる」直営のレストランやギャラリー、そして店舗などで構成する。
クリエーティブディレクターであるサムライ(東京・渋谷)の佐藤可士和氏が、地下1階から地上2階にかけての商業フロア全体を統括。首都のターミナルである東京駅の前から、日本の「おいしさのターミナル」を展開する。農業や漁業が活気を失えば、ヤンマーも衰退する。全国の生産者に光を当て、東京駅前から情報発信していく。
佐藤氏はまず、商業フロアの中央に3層の吹き抜けを設けることを提案したという。「YANMAR TOKYOは旧ヤンマー東京ビル時代から、東京駅隣接の地下街ヤエチカを経由して行き来できるのが特徴だ。今後も地下1階から建物に入ってくる人が大勢いる。そのとき吹き抜けを見上げれば、商業フロア全体を見通せる」(佐藤氏)。その発想を日建設計が設計に落とし込んだ。
吹き抜けには緑化システムや天然木の床と天井を取り入れ、自然との共生を表現した。吹き抜けの真下は休憩スペースとして自由に使えるほか、各種イベントの会場になる。