変わりゆく都市のダイナミズムを体感しながら建設業界で働く──。日本設計が、本社を「虎ノ門ヒルズ森タワー(東京・港)」に移した。多様な働き方に対応できるだけでなく、その日の気分や作業内容に合わせて働く場所を自由に「選べる環境」を整備。リアルな交流の価値を最大化する仕掛けも盛り込んだ。
東京・西新宿の旧オフィスから順次機能を移転し、2022年末から新本社で業務を開始。23年2月28日には、関係者や報道陣などに新しい本社オフィスを公開した。オフィスの全容を写真とともに紹介する。
虎ノ門ヒルズ森タワーは、日本設計が設計を手掛けた地下5階・地上52階建ての超高層ビルだ。大林組の施工で14年に竣工した。日本設計が入居したのは同タワーの34~35階で、オフィスフロアの最上部に当たる一等地だ。
新オフィスの広さは約7000m2で、旧オフィスの8割程度の面積に抑えた。社員数は約1000人いるが、座席数は約600席とした。新型コロナウイルス感染拡大前後の社員の年間出社率は6割弱でほぼ変化がなかったことから、約600席あれば十分と判断した。
内装設計を担当した日本設計インテグレイテッドデザイン部設計グループの寺崎雅彦主管は、「コミュニケーションスペースを広く確保し、逆に飲食やリフレッシュのためのスペース、プレゼンテーションルームなど都市機能で代替できるスペースは思い切って狭くした」と説明する。
コミュニケーションスペースの中核を担うのは、意外にも階段室だ。ビルの建設時に設けた階段設置用の床開口を活用し、南側と北側の2カ所にフロア間を縦断できる階段動線を導入した。その周辺に偶発的な出会いや気付きを促すコミュニケーションスペースや、リアルな素材などに触れられる学びのスペースなどを集中して配置した。
同社は22年より、「共有フレックスタイム制」を採用している。チームの効率やコミュニケーションに配慮することを前提に、午前5時から午後10時までの間、働く時間と場所(本社・自宅・サテライトオフィスなど)を自由に選択できるようにした。本社移転を機に、フリーアドレスへの切り替えも行っている。