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 建設業界では、思うように若手を採用できない状況が続いています。リクルートキャリアの研究機関「就職みらい研究所」による調査では、建設業で2019年に回答した101社のうち、「計画よりも採用数が少なかった」と回答した企業は62%に達しました。一因は、建設会社に対するイメージがあまり良くない点にあります。

 日経コンストラクション19年5月13日号では、建設業界に対するイメージについて、一般の人と業界内の人に対して大規模な独自調査を実施。その結果を基にした特集「それでは若手は入らない」を企画しました。

日経コンストラクション2019年5月13日号の特集「それでは若手は入らない」(資料:日経コンストラクション)
日経コンストラクション2019年5月13日号の特集「それでは若手は入らない」(資料:日経コンストラクション)
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 調査では、身近な若者や子どもに建設業界への就職を勧めるか否かを尋ねています。その結果、一般の人では合計44%が「全くそう思わない」または「あまりそう思わない」と回答しています。

 一般のイメージが悪いこと以上に深刻なのは、建設業界の回答者では、この数字がさらに悪くなっている点です。「全くそう思わない」と「あまりそう思わない」を合わせた否定的な回答は、50%に達していました。業界をよく知る人物が就職を勧めないようでは、新たに有望な人材を獲得することが難しいのも無理はありません。

 アンケートでは、製造業をはじめとする他業種とのイメージ比較も行いました。その結果、「建設」は「サービス」「運輸・物流」に次いで、イメージの悪い業種と評価されました。しかも、残念なことに「イメージが悪い」という回答が「イメージが良い」という回答を上回っていたのです。

 半面、イメージの良さで上位に入ったのは、「化学・金属・素材」「自動車」「IT」といった業種でした。これらの業種は建設とは異なり、「イメージが良い」という回答が「イメージが悪い」という回答を上回っています。

 一般の人に対するイメージアップよりも、就職を控えた学生へのイメージアップを図ればいいと考える方もいるでしょう。しかし、世間一般のイメージは無視できません。学生が複数の会社から就職先を選択する際に、親や周囲の声を判断材料にするという話は、複数の企業の人事担当者が認めるところです。