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 土木の現場で利用される材料といえば、鉄、コンクリート、土と相場は決まっています。もちろん、これからもこれらの材料は、主要な材料であり続けるでしょう。しかし、これらの代わりに利用される材料は、間違いなく増えるとみています。既に、土木構造物に新しい材料を取り入れていこうとする動きが散見されているからです。

 日経コンストラクション1月27日号では、そうした新しい動きに着目して、「鉄とコンクリートを超えろ」と題する特集記事を掲載しました。土木の世界における新材料の活用動向を、具体的な事例などを基に、分かりやすく、かつ徹底的に掘り下げました。

(写真:アルテクロス、大木工藝、金沢工業大学、東京製綱インターナショナル、物質・材料研究機構、三谷産業、三井住友建設)
(写真:アルテクロス、大木工藝、金沢工業大学、東京製綱インターナショナル、物質・材料研究機構、三谷産業、三井住友建設)
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 繊維強化プラスチック(FRP)は、特集で真っ先に紹介した材料です。鉄の弱点である腐食の問題を解決するために、米国では橋のコンクリート桁の緊張材やスターラップとして炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が使用されつつあります。全米向け設計基準も整備されているような状況です。日本国内でも道路橋床版としてCFRPを利用した技術開発などが進んでいます。

 アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)もこれから注目の材料です。約30年前に建設したAFRPロッドを緊張材とする中空プレテン単純桁の一部を切り出して性能確認した結果が明らかになったためです。

 三井住友建設が性能を確認したところ、コンクリートとの接触面に部分的な変色が認められたものの、AFRPの母材自体に問題は見当たりませんでした。引張強度も30年前とほとんど変わらない状態だと確認できています。