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 工事が順調に進むか否かの決め手は、排出される建設発生土の処理になりそうだ──。JR東海がリニア中央新幹線の建設に向けて公表した環境影響評価準備書などの資料を見て、真っ先にこう感じました。当時執筆した短い記事でも、土の処理がカギになる旨を記しています。今から7年ほど前の話です。

 速達性を重視したリニア中央新幹線では、直線に近づけたルートを選定しており、トンネル区間が全体の9割弱にも達していたからです。当時の資料に記載されていた建設発生土の量は、計5680万m3。とてつもない量でした。南アルプスを横断するという難条件もインパクトがありましたが、この数字にはそれ以上の衝撃があったのです。

 建設現場から発生した土の処分に関連して、2カ月ほど前に日経クロステックでよく読まれたニュース記事がありました。 北海道新幹線でトンネル工事中断、想定外の『要対策土』処分できず です。

 トンネル工事で発生した土砂から環境基準を超える重金属などが検出されて既存の受け入れ施設では処分できなくなり、掘り出した土の行き場が失われ、工事が止まったという内容です。リニアの事業ではありませんが、同じく「新幹線」の名を掲げた事業に、現場から出た土が大きな影響をもたらす事態に至りました。

 冒頭で触れたリニアの事業でも、建設発生土の処分に関連してJR東海が示した方法に反対する動きや、受け入れ先がスムーズに決まらないといった混乱が生じています。

 国を代表するような基幹インフラの整備であっても、工事における残土処分がスムーズに進まなければ、事業の進行を揺るがすという現実が改めて浮き彫りになりました。難しい施工条件をクリアするための最新技術の開発などと同等に、場合によってはそれ以上に、建設発生土の処理は重要な課題となります。

 日経コンストラクション2020年12月14日号の特集 残土クライシス では、建設発生土を巡る近年の様々なトラブルを取材。法制度の死角をはじめ、背景にある課題を浮き彫りにしていきました。

日経コンストラクション2020年12月14日号の特集「残土クライシス」(資料:日経コンストラクション)
日経コンストラクション2020年12月14日号の特集「残土クライシス」(資料:日経コンストラクション)