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現場の事故で問われる発注者責任も解説

 大林組は、監理技術者や現場代理人に河川工事の経験がない人を配置してしまったと弁明しています。発注手続き上は監理技術者の要件として求めていなかったということですから、手続き上の問題はありません。

 ただ、経験がないのであればなおさら、施工手順や施工方法、施工精度などについてより慎重に対応するのが本来の技術者像でしょう。そして、経験が浅い技術者を組織としてしっかりバックアップすることも必要だったはずです。経験不足の人員を配置したという問題以上に、こうしたリスク管理に対する姿勢がとても気になりました。

 復旧工事の現場は、通常の工事と比べて条件が厳しいことが多く、現場運営には数多くの苦労もあったことは想像に難くありません。大林組が報告書に記した「急ぐあまり」という弁明は正直なところなのだと感じます。短期間での施工が求められる復旧工事では、社内や外注を問わず、人繰りや労務の手配が大変であったことも察しがつきます。それでもやはり、丁寧なものづくりを進めるという姿勢は中心に据えなければなりません。

 大林組は再発防止に向けた決意を記したポスターを現場事務所に掲げているそうです。今回のミスは大林組のものでしたが、施工ミスはほとんどの建設会社が経験してきたことでしょう。今回のミスを他人事と捉えず、改めて施工者や発注者の方々が品質を見つめ直す材料としていただけば幸いです。我々も、記事の品質を振り返る機会にしたいと思います。

 施工で生じたミスという点では、同号から始めた新連載「土木の法務解説」も実務で参考にしていただけるコンテンツとなっています。初回は工事現場で発生した事故における発注者責任に焦点を当てました。建設関係の法務に詳しい江副哲弁護士が解説しています。

日経コンストラクション2021年2月8日号の土木の法務解説「工事現場の事故にも賠償責任」(資料:日経コンストラクション)
日経コンストラクション2021年2月8日号の土木の法務解説「工事現場の事故にも賠償責任」(資料:日経コンストラクション)
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 最後になりましたが、2月8日号の特集についても触れておきます。今号では技術者の研さんの証しとも言える建設系の資格取得に焦点を当てた特集「コロナ禍の今こそ資格取得」を用意しました。

日経コンストラクション2021年2月8日号の特集「コロナ禍の今こそ資格取得」(資料:日経コンストラクション)
日経コンストラクション2021年2月8日号の特集「コロナ禍の今こそ資格取得」(資料:日経コンストラクション)
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 技術士や1級土木施工管理技士といった建設系資格の取得に向けた勉強法などをまとめています。20年に新型コロナウイルスの感染拡大に伴って混乱した資格試験の日程や実施内容なども整理しています。21年の研さんのヒントとしてご活用いただければ何よりです。