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 巨額の投資を伴うインフラの建設事業では、ミスが発生した場合の手直しに要するコストも大きくなります。供用開始が遅れることによって、効果の発現が遅れてしまうという問題も出てきます。

 こうした問題を防ぐために、インフラの建設工事を発注する組織では、ミスを防止するための検査を実施しています。検査の適切な実施は、発注者に課せられた重要な仕事であるという認識に疑問を抱く人はまずいないでしょう。

 発注者が検査の仕組みを設けていても、その仕組みを十分に活用できず、失敗が見過ごされる。そんな残念な事例が散見されています。日経コンストラクション2021年4月12日号の特集「現場の失敗、検査で見抜けず」では、検査の仕組みを十分に活用できずに発生してしまった施工不良に着目。どのような経緯でミスが見逃されたのかを詳細に取材しました。

日経コンストラクション2021年4月12日号の特集「現場の失敗、検査で見抜けず」(資料:日経コンストラクション)
日経コンストラクション2021年4月12日号の特集「現場の失敗、検査で見抜けず」(資料:日経コンストラクション)
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 中日本高速道路会社が発注した中央自動車道に架かる跨道橋の耐震補強工事で発生した鉄筋不足が一例です。この施工不良は、発注者が定めている立ち会い検査が適切に実施されていれば、防げた可能性が高いものでした。

 通常であれば中日本高速の監督員が、鉄筋や型枠を組み立てた段階で立ち会い検査を実施します。ところが、施工不良が生じた工事では、これらの立ち会い検査を行わずに、コンクリートを打設する工程に進めていました。さらに、検査を受けることなく問題を抱えたまま構築された構造物が、その後の竣工検査で合格と認定されるに至っています。

 大林組が1万カ所を超える施工不良を発生させた千曲川の護岸復旧工事でも、検査の在り方を考えさせる事実が明らかになりました。同社が発注者の国土交通省北陸地方整備局に提出していた施工計画書では、発注者による段階確認を比較的高い頻度で受ける予定にしていました。