全1497文字
PR

 巨大津波を考慮した防潮堤、記録的な大雨に対応したダムや堤防の整備、液状化に備えた地盤改良──。豪雨や大規模地震などに備えたハード整備が、国土強靱化の名の下で着実に進んでいます。加えて、災害時の行動を計画するタイムラインや暴風雨時の鉄道の計画運休といった、ソフト面での取り組みも拡大してきました。

 ハードやソフトの持つ力を最大限に生かすうえで重要になるのが、各種災害に対する情報です。どの程度の雨量が予想されるのか、地震後の被害はどの程度だったのか。そうした情報を正確に把握できれば、効果的なダムの事前放流や的確な住民の避難、被災後の迅速な応急復旧などを実現する確度が高まります。

 日経コンストラクション2021年5月24日号の特集「防災技術2021 データが革新する災害対応」では、災害情報を効果的に収集・分析し、被災前後の対応に役立てる「防災テック」に焦点を当てました。

 内閣府は防災テックの開発や活用を推進するための取り組みを加速させています。21年度は「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」を設立。自治体などの防災に関するニーズと企業が持つ先端技術とのマッチング支援や自治体での実証を進める予定です。

 21年5月中には内閣府が設けた「デジタル・防災技術ワーキンググループ」内の検討チームが、未来構想や社会実装に関する方向性を取りまとめる見通しとなっています。

 防災テックの取り組みで目立つのは、ICT(情報通信技術)に強い組織です。データ活用には5G(第5世代移動通信システム)といった通信や人工知能(AI)などの技術が欠かせないケースが多いので、これは自然なことでしょう。

 ただ、データ解析などによって導き出された結果の妥当性を判断したり、その結果のハードへの適用方法を考えたりする際には、土木技術者やインフラ技術者の知見が欠かせません。防災テックの領域に進出していく土木分野やインフラ分野の技術者は、これから増えていくはずです。