あれ、またコンクリートの特集なの?
日経コンストラクション2021年7月12日号の特集タイトル「シン・コンクリート」をご覧になった読者の方は、そう思われたかもしれません。何せ本誌では6月14日号で「脱炭素コンクリートが地球を救う」と題する特集を掲載したばかりですから。
冒頭の問いに対する編集部からの答えは「イエス」です。今号も6月14日号に続いて、コンクリートに焦点を当てた特集をお届けしています。コンクリート材料の技術動向が、建設業界にとって、それだけ大切なトピックとなっているからです。
前回の特集では、「脱炭素」という視点で二酸化炭素を吸収するコンクリートなどを紹介しました。今号では、コンクリートを構成する材料利用の持続可能性という点で、最新の技術動向を紹介しています。つまり、限られた資源をどれだけ有効に使えるかという観点です。
例えば、石灰石。コンクリートの製造に欠かせないセメントの原料である石灰石は、日本国内で自給できる数少ない鉱物資源です。しかし、だからといって永遠に採掘し続けられる材料ではありません。このままでは、あと300年弱で日本の石灰石は枯渇すると言われています。未来の世代を考えれば、大切にしなければなりません。
世界を見渡せば、コンクリートに使えるような高品質の砂も、限りある資源です。海外では、他国への砂の輸出を停止するような動きもあります。
資源の有限性という点にフォーカスして紹介した最新技術の一例は、砂漠の砂からコンクリートの代替材をつくるという技術です。砂漠の砂の品質は低く、工業的な基準を満たすのは難しい。そんな砂を、アルコールと触媒を用いて接着させ、硬い材料に変えていく。東京大学生産技術研究所が研究に取り組んでいます。