公明党が衆院選で掲げていた「未来応援給付」に沿って、18歳以下の子どもへ現金やクーポンを給付する話題が、連日テレビや新聞で取り上げられています。経済対策としての効果への疑念や生活困窮者に限った対策とも異なる内容を踏まえ、「ばらまき」との批判が目立っています。
批判の声が上がるのは、世帯収入を勘案しないために生じる不公平感や、コロナ禍における前回の一律給付による経済効果があまり出なかったという分析が少なからず存在するからでしょう。行政による支出で特に重要なのは、それを負担する市民側が納得できるような説明にほかなりません。
土木とは関係ない話を書いていると思われるかもしれません。ですがこれは、日経コンストラクション2021年11月22日号の特集記事と密接に関係するのです。同号の特集「崩れる民有地」では、民間が所有する敷地が引き起こす土砂災害などに着目。近年の災害事例やその災害がもたらす様々な影響に焦点を当てました。
地球温暖化の影響で降雨などが激しくなり、民間が所有する敷地が土砂災害を引き起こすリスクは確実に高まっています。行政が管理する公共施設であれば、専門の職員が適切な点検や対策を適宜実施することが可能です。しかし民間の敷地に対しては、そう簡単に事は運びません。
急傾斜地の崩壊対策として、一定の条件を満たした場合に行政が所有者に代わって事業を実施できる仕組みは既にあります。ただし、この制度を規定する法律では、受益者に対して一定の負担を要求できる旨を規定しています。他方、土砂災害のリスクが高い民間所有の土地への対策を助成する独自の制度を設ける自治体も存在します。