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広域の浮きという点検結果を軽視

 事故箇所では、剥落が起こる約1年前に定期点検を実施。剥落部を含む広範囲に浮きが見つかっていました。しかし、道路管理者はそのごく一部をたたき落とす応急措置を施しただけで、供用を続けてしまったのです。剥落箇所の大半は、浮きが見つかっていた部分でしたから、判断が甘かったとの批判は免れないでしょう。

 ついでに言うと、この点検結果は弊誌による情報公開請求によって初めて開示されたものです。道路管理者としての姿勢も問われていると思います。

 事故によって建設現場で働く仲間がけがをしたり、亡くなったりすれば、誰でも大きな衝撃を受けるはずです。インフラ利用者や工事現場の近くにいた第三者に被害を及ぼしたとなれば、もっと衝撃は大きいかもしれません。

 事故原因に直接関与していたり、その管理や監視を担っていたりした人であれば、そこで受けた苦しみは時が経過しても消えないでしょう。その苦しさが重荷となり、それまでの仕事を続けられなくなる人もいるはずです。建設現場やインフラにまつわる事故は、ひとたび発生すると大きな被害を招くリスクが高い。絶対に起こしてはいけないのです。

 事故の原因を知れば、当たり前のように思えることが多いかもしれません。それでも、人ごととして見過ごさないでほしいと思います。特集記事で紹介する事例を他山の石として、事故防止に向けた取り組みに役立てていただければ幸いです。

 12月27日号では2021年を振り返る意味で、10大ニュースを選んだ記事もお届けしています。21年のニュースとして最初に選んだのは、静岡県熱海市内で7月に発生した土石流です。

 熱海土石流は、東日本大震災や東日本台風といった広域に大規模な被害をもたらした災害ではありません。しかし、建設産業界に大きな課題を突き付けた災害となりました。

 土石流の要因として挙げられている不適切な盛り土はその1つ。安全対策が講じられていなかったり、計画と異なったりする盛り土の事例は全国に数多く存在します。盛り土材料として活用される建設残土についても、近年、その扱いが難しいことがクローズアップされています。

 これからの盛り土の扱いを大きく変えていくという影響も踏まえて、21年を代表するニュースとして選びました。

 2番目以降に選んだニュースも、21年を振り返るうえで欠かせない内容です。どうぞ、雑誌の誌面や日経クロステックにも掲載した電子版コンテンツでご確認ください。