2021年末に日経クロステックのIT、先端技術、建設の3編集長が集まって、22年の注目テーマを議論しました。建設担当の私が挙げたテーマは、「水害との勝負」「データとの対峙」「自動化への挑戦」の3つです。
「水害との勝負」という言葉では負けを意識しています。22年は水害への負け方がクローズアップされるとみたからです。流域治水において、洪水時に遊水地や田に川の水を逃がす上・中流部の取り組みは、その代表例とみています。久慈川や那珂川で進む霞堤の整備も、負けを想定した施設にほかなりません。
一方、負けを認める以上は、その影響を受ける人を忘れてはいけません。下流の都市を守るために影響を受ける人たちをどう説得し、理解してもらうのか。負けを認めた結果出てくる難題にも直面する1年になるはずです。
「データとの対峙」には、都市や道路構造物のビッグデータ整備と、その活用に向き合うことが求められ始めるという意図を込めました。
日経コンストラクションでは21年に起こった熊本県の牛深ハイヤ大橋の支承損傷を受け、事故情報の共有の在り方に課題があると指摘しました。自治体など管理者の枠を越えたデータ流通が実現すれば、同種事故を防げる可能性は高まります。
東京のゼロメートル地帯では、水害時に広域避難が必要とされています。しかし、そのシミュレーションは容易ではありません。自治体の境界を越えた広域の都市データがあれば、広域避難などのシミュレーションが進化するはずです。