3年ほど前、日経コンストラクションでは、建設会社の知名度を一般の人に尋ねる調査を実施しました。いわゆる準大手クラスの建設会社の知名度は10~30%と厳しい結果となりました。
一方でテレビコマーシャルを流したり、ビッグプロジェクトを数多く手掛けてきたりした大手建設会社の知名度は、60~70%に達していました。その差の大きさが想像以上で、結構驚いたことを鮮明に覚えています。
建設産業界における技術革新は、大手建設会社がリードし、その後、業界の“常識”となるケースが目立ちます。例えば超高層ビルの建設。最初に競い合ったのは大手建設会社でしたが、今では多くの建設会社が手掛けています。
近年であれば、ロボットや改造した重機などを用いた施工の自動化で、大手建設会社が業界をリードしています。ロボットなどの活用という点では、21年9月に準大手クラスを巻き込んだコンソーシアムが立ち上がるなど、広がりが見え始めています。
大手建設会社が業界をリードするのは、技術だけではありません。社員や協力会社のスタッフの職場環境を整備するという点でも、改善の取り組みを率先しています。建設産業界で大きな問題となっている長時間労働や女性の少なさなどへの対応は、その代表例です。
2020年初頭から社会問題となり、今も影響が色濃く残る新型コロナウイルスの感染拡大。働く環境を激変させた事態を受け、建築だけでなく、土木分野にも注力する鹿島、大成建設、大林組、清水建設の大手建設会社4社は、これまでのワークスタイルや教育スタイルを大きく変えました。この動きは、建設業界における働き方の“常識”が転換する未来を示唆しています。
そこで、日経コンストラクション2022年3月28日号では、「建設大手4社比較 コロナ後の働き方」と題する特集を用意。未来の働き方を見通すために、大手建設会社で進む働き方改革の状況を徹底的に比べてみました。
特集でまず注目してもらいたいのは、大手4社の社員や元社員から見た会社への評価です。社員口コミサービス「OpenWork」の協力を得て、日経コンストラクションが独自評価しました。細かい順位は誌面で確認していただきたいのですが、コロナ前もコロナ後も、多くの項目で鹿島が高い評価を受けていました。