4月から月刊誌として生まれ変わった日経コンストラクション。記念すべき月刊化第1号の表紙には、2022年3月16日に発生した福島県沖地震による東北新幹線の被災状況を撮影した写真を選びました。
「表紙は雑誌の顔である」といいます。隔週誌から月刊誌になっても災害や事故、トラブルなどニュースを追い、いち早く読者の皆様に役立つ情報を届ける姿勢は変えないという編集部の決意を示すために、被害の写真を持ってきました。この写真を表紙に配置できるのは日経コンストラクション以外ないはずです。
月刊化によって、今後の日経コンストラクションの中身がどうなるのか、気になる読者も多いと思います。そこで、今号の見どころを話す前に、月刊化と編集方針について少し説明させてください。編集部の目指すところは雑誌と日経クロステック(デジタル)のさらなる連動にあります。
毎日訴求できるデジタルと比べて、雑誌は最新の情報をタイムリーに収集する手段として向いていません。発行の頻度を増やしてもデジタルにはかなわないでしょう。一方、業界の動向などを網羅的に把握したい場合、雑誌の利点は大きいです。雑誌を読んでいると自分の興味のない分野の情報も入ってくるので、情報の偏りが小さいからです。
速報性の高いニュースについてはデジタルで手厚く提供し、業界の全体動向や未来を先読みできる骨太の特集などについては雑誌で提供する──。そのすみ分けを明確にすることが月刊化の意図の1つです。もちろんデジタルと雑誌はお互いに補完し合う存在でもあります。例えば、雑誌記事のQRコードから、デジタルで過去記事や関連記事、それから動画などを見ることができます。
月刊化に伴い誌面の構成もリニューアルしました。特に力を入れていくために新たに設けたコラムが「ファーストニュース」です。速報性の高いニュースを深掘りして、図版や写真などで分かりやすく解説しています。4月号では2つ用意しました。
1つが、冒頭に紹介した福島県沖地震の被害報告です。地震の翌日から村上カメラマンが現地で撮影。さらに奥山記者が被害のメカニズムについて複数の専門家に取材しました。過去の大地震でも新幹線の橋脚は被害を受けており、そのたびに、防災対策の転換がありました。今回の被害はどうだったのか気になるところです。
もう1つが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響に伴う資材高騰についてのリポートです。橋本記者が業界全体をくまなく取材し、執筆しました。普段あまり取り上げたことのないH形鋼や生コンクリートなど資材の価格について、ちょっとした未来予測も含めて記事化しました。とても読み応えのあるニュース記事にまとまっていますので、ぜひご覧いただければ幸いです。