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中小だって海外へ

 もう1つの特集では、「今こそあえて海外へ」というタイトルを付けています。「海外の話だから大手か」と勘違いしないでほしいのですが、実はこちらも中小企業に向けたメッセージを込めています。

 海外の土木工事受注高は新型コロナウイルス感染症やミャンマーの事変、ロシアによるウクライナ侵攻などによって、この1、2年で大きく下落しました。ただし、ここに来て回復の兆しを見せています。海外建設協会の会員企業における海外土木工事の受注総額は、19年度比で75%まで戻ってきました。

 東京五輪に伴う特需などで堅調に推移していた国内市場は停滞気味で、海外と同じく資材価格上昇のあおりを受けています。将来的な需要減も避けられません。国内外で需要の変動を補う戦略が今後重要となると考え、海外の重要性を再認識する企業が増えているのです。

 海外での事業活動は、売り上げを補うだけではありません。人材確保の面からも、欠かせない取り組みです。人口減少が進む日本国内での人材獲得は今後一段と厳しさを増すことでしょう。

 特集では、基礎工事や仮設橋梁を手掛ける高知丸高(高知市)、下水道工事を手掛けるヤスダエンジニアリング(大阪市)、それからアース建設コンサルタント(宮崎市)など、地方を拠点とする企業の事例を紹介しています。大手にはない戦略で海外事業での定着を目指す彼らの取り組みは、海外を視野に入れている企業にとって参考になるはずです。

 それから、最後にズームアップ「秘境の現場で未来志向の遠隔復旧工事」についても触れさせてください。今号はこちらも地方の取り組みを紹介しています。20年9月の台風で発生した土砂崩れに巻き込まれ、建設会社に勤めていた技能実習生などが犠牲となった現場の復旧工事を取り上げました。

 急峻(きゅうしゅん)な斜面で、十分な安全を確保できる無人化施工に挑んでいる現場です。地方の建設会社が主体となって、無人化で低下した生産性を取り戻すための秘策なども用意しています。詳しくは誌面をご覧ください。

 建設業界の浮沈は、大手をはじめとした大企業の先導だけでなく、地方企業の底上げも関係してきます。日経コンストラクションでは引き続き、地方で頑張る企業にも有益な情報を届けていきたいと思います。