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 日経コンストラクション2022年7月号の特集では、建設業界で旬なキーワードである「賃上げ」に注目しました。賃上げとは、基本給の水準を一律に引き上げる「ベースアップ(ベア)」と年齢や勤続年数に応じて定期的に引き上げる「定期昇給(定昇)」から成るものです。

 なぜ旬なのか。それは、国土交通省が賃上げを総合評価落札方式の入札で優遇するという措置を22年に導入し始めたからです。例えば大手の場合、3%以上の賃上げを実施すれば総合評価で5%以上の加算点を受けられます。価格で差がつきにくい公共工事の入札において、落札のためには価格以外の要素の評価点は喉から手が出るほどほしいのが実情でしょう。

 物理的に目には見えませんが、まさに賃上げせざるを得ない包囲網が張られている──。そこで特集に付けたタイトルが、「賃上げ包囲網」です。

 特集では大手建設会社や大手建設コンサルタント会社の上位陣に独自アンケートを実施。各社のベアなどの率、値上げの時期、具体的な内容などを問い合わせて、取りまとめています。大幅な賃上げをする会社が目立つ結果となりました。

 アンケートの結果だけでも読む価値はあると思いますが、他にも示唆に富んだ分析記事を掲載しています。賃上げの実施が入札で優遇されるといっても、実際、落札にどの程度の影響を与えているのか──。特集班の青野昌行編集委員と奥山晃平記者はそこに着目しました。

 国交省関東地方整備局で、ある一定の時期に入札のあった、一般土木工事の結果を分析。賃上げ加点を受けて落札した企業が、「もしも賃上げ加点を受けなかったら」と想定した際の評価値を算出しました。結論を簡潔に述べると、賃上げ加点を受けなければ、2番目に高い評価値だった企業が落札していた割合が半分を占めることが明らかになりました。詳しくは7月号を読んでいただければ幸いです。

 その他、大手と比べて遅れがちではありますが、地方企業の動向も追いかけています。先進的に賃上げを実施している地方企業に焦点を当てました。「賃上げ包囲網」が業界にどう波及していくのか。今後も注視していきたいと思います。