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 日経コンストラクション2022年10月号では、シールドトンネル工事のトラブルに焦点を当て、どうすれば事故を減らせるのかについてまとめた、特集「いつまで続くシールド事故」を企画しました。

 今シールド工事を取り巻く状況は、10年前と同じような逆風にさらされている印象を受けています。10年前とは、岡山県倉敷市で海底トンネルの工事中に海水が流れ込み、5人が死亡する事故が生じた2012年です。報道機関が連日のように事故について取り上げたこともあり、記憶に残っている方も多いと思います。

 当時、私は記者としてこの事故を追い、円形のトンネルの外郭となる「セグメント」の薄肉化や幅広化が進んでいたことを、同年10月22日号の特集「行き過ぎた合理化」で指摘しました。

 あれから10年がたち、シールド工事では死亡事故が多発しているわけではないですが、道路陥没やシールド機の破損などが続いており、市民の生活に大きな影響を及ぼしています。工期が長引き結果的に工費がかさむといったことも珍しくありません。

 特集では、事故の当事者である大手建設会社などに軒並み取材を断られ、記事化に難航しました。それでも業界の将来を憂う技術者、有識者の協力を得て、背景に潜む問題を特集班が浮き彫りにしてくれました。詳細については、特集をご一読いただければ幸いです。