日経コンストラクション2022年12月号の特集では、ここ1年で起こった建設事故を取り上げました。タイトルはずばり「今年の建設事故」です。
取り上げた事故の対象は北海道新幹線や新東名高速道路などのビッグプロジェクトから、地方で進む小規模な事業まで。計7つの事例を紹介しています。
事故の取材には当事者がなかなか応じてくれません。そんななか、提供してもらえる資料と取材を通じ、トラブルのメカニズムについて図解を徹底しました。
多くの事故に共通するのは、「過信」です。22年5月に川崎市などで発生した約7万世帯の停電は、電力会社が提供した図面の送電線の位置を受注者が過信して、埋設物の確認を怠った結果、送電管を損傷させて生じました。
22年4月に大阪市で起こった路面陥没も、一晩で下水道管の交換を終わらせられると過信し資材を用意していなかったことが影響しています。一時的に交通開放するために、下水道管を仮接続したのですが、手配できた資材では適切な方法が取れず。大雨が降ったために仮接続管が流れてその結果、土砂が流出して路面が陥没してしまいました。
その他、舗装に耐久性があると考えて鉄板を敷かなかったために舗装が陥没して、クレーンが転倒した長野県での事故も、施工者に過信があったといえるでしょう。
現場において「自分は大丈夫」と過信することは命取りになります。トラブルに伴って工事関係者や住民に迷惑をかけるだけでなく、自身もしくは他人を死傷させる事態にまで発展することを今一度頭に入れて、ぜひ12月号の特集をお読みいただければ幸いです。