2023年2月号の日経コンストラクションでは、読者に根強い人気の2つの特集企画を掲載しました。1つは会計検査院が指摘した設計ミスを詳報した特集です。報告内容を基に、該当する発注者に協力してもらい、報告に書かれていない「背景にある問題」まで詳細に伝えています。
掲載している内容は一言で表せば、設計ミスの「あるあるネタ」です。異なる発注者間で工事情報の共有不足だった、構造物に適用する設計基準を誤った、重ね合わせ継ぎ手の適切な長さを検討しなかった、過去に担当した事例と同じ構造形式だと思い込んで工事数量統括表を作成してしまった、メーカーの標準図に基づいて支持力を検討しなかった──。
取り上げた事例と全く同じ過ちを犯した技術者は少ないかもしれませんが、同じようなミスをした、またはしそうになった技術者は意外と多いのではないでしょうか。
工事でミスを犯すと、工事目的物が完成しないだけでなく、人に危害を加えかねないため大きく報道されやすいのですが、設計でのミスはなかなか表に出てきません。その点で会計検査院の報告は、同じようなミスを防ぐために、とても役に立つ情報だと思っています。
設計者、発注者、それから設計変更に関わる施工者も含め、特集を読んで、いま一度ミスをしない体制づくりについて考えてみてはいかがでしょうか。