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「建築単価ウオッチ」は、 4月調査の結果をお伝えする。木造戸建て住宅のプライス推計値は、先行配信した鉄筋コンクリート造(RC造)マンションや鉄骨造(S造)事務所と同様、前月から大幅に上昇した。これは、プライス推計値算出のベースとなる契約価格の基準値を更新したためだ。この点を含めて、詳しく解説する。

 プライス推計値については、4月から、建設物価調査会が木造戸建て住宅について収集した16年の東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)における1m2当たりの契約価格を基準値に用いる。木造戸建て住宅の契約価格調査は不定期で行っており、直近では16年が最新となる。その値は、高位(75%値)が22万6000円、中央値に相当する中位(50%値)が18万7000円、低位(25%値)が15万1000円だった。3月まで用いていた14年調査の契約価格は、高位20万5000円、中位17万9000円、低位14万5000円だった。16年調査の値は14年調査の値と比べると、高位で2万1000円、中位で8000円、低位で6000円上昇している。

 この契約価格を最新の建築コストの指標で補正して「プライス推計値」を導き出した。東京圏における4月の木造戸建て住宅の総工事費単価のプライス推計値は、中位が18万9000円(最新2カ月分は暫定値)で、前月から3.2%上昇した。前年同月比では4.1%の上昇である。

 同様に、高位は22万9000円で、前月から9.1%上昇、前年同月比が10.1%上昇だった。低位は15万3000円で、前月から2.7%上昇、前年同月比が3.6%上昇となった。

 18年4月の推計値は3月(14年基準値)と比較して、原価変動以上に高値にズレが生じており、原価上昇分と利益がプライスに転嫁されていることがうかがえる。

横軸は調査時期。金額は消費税を除く(資料:建設物価調査会)
横軸は調査時期。金額は消費税を除く(資料:建設物価調査会)
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データの見方

建設物価調査会の「個人住宅工事費調査」のデータから作成した総工事費単価のプライス推計値。東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)で建設された木造戸建て住宅(軸組み工法、2×4工法)について過去の契約価格データをベースに、建築費指数(工事原価)を用いて補正したもの。実際の契約価格は、建物の規模や施工条件、設計内容、グレードなど様々な要因によって変動するので、四分位で中央値に相当する中位(50%値)のほか、高位(75%値)と低位(25%値)のデータを提供する。最新2カ月分のプライス推計値は暫定値。個人住宅工事費調査は不定期に行われ、16年調査の結果を18年4月以降の推計の基本情報として用いている。18年3月と4月では基本情報となる母集団が異なるので、値の差が生じる

 4月の東京における木造戸建て住宅の工事原価指数(05年=100)は、前月から横ばいだった。専門工事別で見ると、基礎が0.1%上昇したのに対し、電気が0.3%下落した。工事原価でみると、鉄筋の上昇や電線ケーブルの下落があったが、大きな変動はなかった。

 前年同月比については、工事原価が0.7%上昇した。専門工事別で見ると、基礎が2.9%上昇、電気が2.8%上昇、内外装が1.9%上昇、木工が0.8%上昇、衛生が0.6%上昇、屋根が0.1%上昇となった。変動の主な要因は、木工、鉄筋、電線ケーブル、生コン、衛生配管などの工事費や資材費の上昇が影響している。

横軸は調査時期(資料:建設物価調査会)
横軸は調査時期(資料:建設物価調査会)
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データの見方

基準年の05年を100とする指数で、木造戸建て住宅の各種工事のコストを表したもの。工事原価とその主な内訳となる木工、内外装、電気、衛生の工事の指数を示している。工事原価は総工事費から一般管理費を除いたもので、プライスに影響を与える利益などを含まない。建設物価調査会が作成している建築費指数に基づく。最新2カ月分の指数は暫定値。詳細は建設物価調査会のウェブサイト