省エネ基準への適合性判定が始まって、ZO設計室ではより早い段階で意匠設計者から相談を受けるようになった。断熱性能の確保を中心に省エネ基準への適合を図るなか、意匠設計者とうまくコラボレーションするには、目標の共有が不可欠という。
省エネ基準への適合性を判定する、省エネ適判の制度が始まって、仕事の進め方に変化はありますか。
制度開始の2017年4月より前に建築確認を済ませる駆け込み申請が多かったのですが、5月ごろから再び動き出しました。それ以降、設備設計を担当した案件に関してはいずれも、省エネ基準をクリアしています。
近年、意匠設計者からの相談は比較的早い段階から受けられるようになってきました。設備を重要視し、意匠性と省エネ性のバランスはどうあるべきかを早い段階で一緒に考えていくという意識が高まっているので、私たちとしては仕事がやりやすくなりました。
ただ事業の性格上、建築確認を早く済ませておきたいという建築主の案件は、実施設計完了前にその手続きに入らざるを得ません。つまり、省エネ適判のために実施設計完了前に空調機の能力などを決める必要が生じます。そうなると計画変更は必至です。イレギュラーな進め方を強いられますが、その苦労は意匠設計者には伝わりません。
意匠設計者の省エネに対する意識は、どうご覧になりますか。
意識の高い設計者がいる一方、無頓着な設計者もいます。省エネ適判が制度化されたものの、その内容をまだよく理解していないという設計者も決して少なくありません。
プランの説明を受けて省エネ基準に適合していない場合には、断熱性能を高めるよう要請します。
それはコストアップになりますが、意匠設計者は理解を示しますか。
それはもう、半ば脅しです。「省エネ基準をクリアできませんよ」と。適合義務が求められる床面積2000㎡以上の非住宅建築物はもちろん、いまは届け出義務にとどまっている300㎡以上の建築物全般に対しても、そのように応じています。