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「第三者の認定を取得したい」

設備面でもさまざまな工夫を盛り込んでいますね。

湯浅 孝氏(大成建設関西支店設計部設計室長設備担当) 湿度の処理と温度の処理を分けた潜顕分離空調方式を採用し、冬にはダブルスキンを通して暖められた外気を室内に取り入れることで省エネ化を図りました。CO2センサーによって室内の在席人数を計測したうえでVAV の可変ダンパーで必要最低限の空気を送り込み、余計な外気処理をさせないようにしているのも特徴です。ただ、これらは基本的に汎用技術を組み合わせたもので、それらの積み重ねでZEB Readyを実現しています。

新井 太陽光発電は、屋上のホバリングスペースの手すりの垂直面に約10kWを据え付けています。創エネを除く1次エネルギー消費量削減率60%に対して、創エネを含めた削減効果は1%だけ増えて61%となりました。

外皮の断熱は一般的な仕様とのことですが、断熱材を厚くするといった検討はされたのでしょうか。

湯浅 例えば外壁は、成形セメント板に厚さ15mmの吹き付け硬質ウレタンフォームを施しています。今回はこの厚さが20mmになっても消費エネルギーの軽減には大きな影響がなかったので15mmとしました。空調やダブルスキンの効果のほうが大きいので、費用対効果が大きなところに配分した格好です。

新井 せっかくZEBに取り組むので、その証しとなる第三者の認定を取得したい。大成建設に相談したところ、国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」があるので挑戦しないかと提案してもらいました。結果的に16年度秋の事業に採択されましたが、これは関西の金融機関では初めてです。環境共創イニシアチブが実施しているZEBリーディング・オーナー制度にも登録しました。

 建物が完成して終わりではなく、大成建設には使用開始後も毎月の消費電力を計測してもらい、改善の提案を受けながら運営を進めています。経営陣の関心も高く、数カ月ごとに定期的に報告しています。

湯浅 用途とフロアの別に、遠隔でエネルギー使用量を計測し、毎月リポートの提出とチューニングを実施しています。例えば、屋上に貯湯槽を設けていますが、湯を無駄にためていないか、実際の使用量を計測しながら、使用量が少ない場合には貯湯の最大値を調整するといった改善提案をしています。こうしたデータの蓄積を基に、これからは断熱性能や取り込む外気量に応じた正確なエネルギー消費予測へとつなげていきたいと考えています。

松岡 中央監視システムなど、装備した設備を本当に使いこなしているかはなかなか分かりません。定期的にフィードバックしてもらえるのはありがたいですね。

 大阪は近年大きな台風に相次いで見舞われています。今年も大きな台風がありましたが、そのときもダブルスキンの外側は滝のような雨が打ち付けていたのに室内は静かでした。良い執務環境の建物を建てていただいたと感謝しています。私たちの新本店が、先進的な省エネビルの1つの指針となれば幸いです。

前列左から近畿産業信用組合の新井成哲経営企画部次長と松岡富雄総務部部長、大成建設関西支店の平井浩之関西支店設計部長、本家公巳子設計部設計室(建築担当)プロジェクト・アーキテクト。後列左から大成建設関西支店の永吉敬行設計部設計室(設備担当)プロジェクト・エンジニア、湯浅孝設計部設計室長(設備担当)、大成建設エネルギー本部ZEB・スマートコミュニティ部の砂賀浩之ZEB推進室長、根本昌徳スマートコミュニティ推進室長(写真:守山 久子)
前列左から近畿産業信用組合の新井成哲経営企画部次長と松岡富雄総務部部長、大成建設関西支店の平井浩之関西支店設計部長、本家公巳子設計部設計室(建築担当)プロジェクト・アーキテクト。後列左から大成建設関西支店の永吉敬行設計部設計室(設備担当)プロジェクト・エンジニア、湯浅孝設計部設計室長(設備担当)、大成建設エネルギー本部ZEB・スマートコミュニティ部の砂賀浩之ZEB推進室長、根本昌徳スマートコミュニティ推進室長(写真:守山 久子)
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