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設計着手時に目標伝える

建て主の反応はどうですか。

 「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会(HEAT20)」が提唱する「外皮性能グレード」をベースにして、こちらとしては最低でもG1(冬の非暖房室の室内温度13℃以上)、できればG2(同15℃以上)にしたいと思っていますと、そんな説明をします。今のところはよく分かってもらえていないのか、「お任せします」という返事をもらうことの方が多いですね。

 引き渡し済みの建て主からは感想などを聞き取っていますので、他の建て主がどう感じているかも一緒に伝えています。

設計はどのように進めるのですか。

 断熱・気密性能は施工で決まります。設計上は高性能でも、施工者が慣れていない材料では実現できないことがある。施工を担当する工務店がどの断熱材に慣れているかというのが非常に重要なので、建て主にはまず最初に施工者を決めてもらっています。それで断熱材を検討します。

 これまでの経験で大体の性能値は想定できます。プランがまとまったところで設計委託契約と工事請負契約を締結。さらに実施設計がある程度進んだ段階で外部に委託して、詳細な省エネ計算を実施します。この結果を見て、北側だけトリプルガラスを使おうかとか、仕様を微調整していきます。ほとんど固まったところで確認申請をして、着工する、という流れですね。

 うちは断熱計算も構造設計も完全に別建てで、建て主に再委託費用をそのまま払っていただいていますので、温熱環境に関する計算結果も建て主にも渡しています。

21年4月から義務化される予定の省エネ性能の説明のようですね。

 具体的な制度内容がまだ分からないので何とも言い難いのですが、できるところから始めています。ただ、省エネ性能の説明は難しい。私としても数字の説明に終始しているところがあると感じていて、これは今後の課題です。

 相手が省エネについて詳しいのであれば、断熱性能によってどれくらい光熱費に違いが出るかとか、そんな話もできるのでしょうが、住まい方次第の側面が大きく、前提条件がたくさんある。もっと突っ込んで、こういう暮らし方だとこの程度、というところまで落とし込めればいいのですが。

 計画段階では建て主が想定しにくい面もあり、共通認識となる目安、指標が欲しいところです。