全1816文字
PR

説明内容を書面化する

 建築主への説明義務では、現行の省エネルギー基準への適否を伝えることが求められる。

 現在、300m2未満の小規模な住宅や非住宅建築物では、省エネ計算をしていない事例も多い。17年度の新築データでは、省エネ基準を満たす小規模住宅は6割にとどまっている。説明義務では、省エネ計算をするなど、省エネ基への適否を確認する作業が必須となったのが改正前との大きな違いだ。

 基準を満たさない場合には、不適合であることを説明したうえで「どうすれば適合するようになるか」を具体的に示す。例えば「屋根や外壁に用いる断熱材を厚くする」、「窓の仕様を単板ガラスのアルミサッシから複層ガラスのアルミ樹脂複合サッシに差し替える」といった内容だ。

 基準への適否をはじめ、説明する内容は書面化する。建築主が「省エネに関する説明は要らない」と言えば、建築士は説明をしなくてかまわない。ただし、建築主が説明を断ったということも書面で残しておく。説明義務が施行される時期には、建築士事務所が保存義務を負う書類にこれらの説明書も加わる予定だ。

 書面化すべき内容はシンプルだが、実際の説明場面では、省エネ基準、外皮性能、一次エネルギー消費量といった言葉の意味や、なぜ省エネ化が必要になっているのかを建築主に伝えることも大切だ。まずは建築士自身がこれらの内容を理解し、自分の言葉で説明できるようにしておく必要がある。

建築主の意思確認、説明内容は書面で残す
建築主の意思確認、説明内容は書面で残す
(資料:国土交通省の資料を基に作成)
[画像のクリックで拡大表示]